車載、工業、画像機器向けなどのフローティング、細線同軸、圧着コネクタ

高速伝送対応0.5ミリピッチ フローティングコネクタ「DTシリーズ」

　ケルはコネクタ事業拡大に向けた戦略製品に（１）フローティングコネクタ（２）細線同軸コネクタ（３）圧着コネクタを掲げ、今後も新製品開発や製品バリエーション拡充に力を注ぐ。アプリケーション別では車載機器、画像機器、工業機器、遊戯機器、医療関連などの幅広い市場への拡販を強化し、ビジネスの拡大を目指す。

　同社のフローティングコネクタは、特に０.５ミリピッチ・フローティングコネクタ市場ではワールドワイドで高いシェアを確保しており、「フローティングコネクタは、車載市場向けを中心に順調に伸びている」（同社営業本部）。

　フローティングコネクタの品ぞろえは、以前からの０.５ミリピッチ「ＤＹシリーズ」に加え、０.４ミリピッチ基板対基板用フローティングコネクタ「ＤＵシリーズ」と高速伝送対応０.５ミリピッチフローティングコネクタ「ＤＴシリーズ」をリリースした。

　ＤＵシリーズは最大２００ピンに対応。ＤＴシリーズは積極的にバリエーションを拡充している。豊富な品ぞろえを強みに、車載機器や工業機器への積極的な拡販を推進する。

　ＤＴシリーズの伝送特性は、ＳＡＴＡ　Ｒｅｖ３.０の要求規格を全て満足するＳＡＴＡ規格相当の高速シリアル伝送に対応。フローティング量はＸＹ方向に±０.５ミリメートル。有効嵌合長１.５ミリメートル。接続方式は、スタック、水平、垂直接続の３次元接続に対応。バリエーション拡充としてハイスタックタイプ（スタック接続高さ１７／１８／１９／２０ミリメートル）も量産開始した。スタック接続高さ２５ミリメートル品も開発中。さらにシェル付きタイプの開発も進めている。

　シェル付きタイプは、ＥＳＤ（静電気放電）対策やＥＭＩ対策に対応。コネクタ全体を囲む金属シェル構造により、静電気やノイズなどから信号を保護し、安定した伝送を実現する。

　同社では今後も、新製品のＤＴシリーズ、ＤＵシリーズを中心にフローティングコネクタの積極的な拡販を推進する。用途別では、主力の車載機器に加え、画像機器や医療機器、工業機器市場などへの展開強化を図る。小型化や高速伝送対応などの付加価値を強みに、さらなる販売拡大を目指す。

　細線同軸コネクタは、超小型タイプの０.２５ミリピッチ細線同軸コネクタを展開するほか、次の製品開発にも着手し、市場要求の高速伝送対応・小型・狭ピッチなどを追求した技術開発を進める。

　圧着コネクタは、１.５ミリピッチ・ドロワーコネクタ「ＦＡＳシリーズ」を発売。既存の２.５ミリピッチ品と比較し、基板占有面積で３０％以上小型化。同シリーズの「ケーブル中継タイプ」も発売する。

　同社は車載展開強化のため、１５年に山梨事業所でＴＳ１６９４９を取得した。１７年にはドイツに現地法人「ケル　ヨーロッパ」を設立し、欧州地域での事業拡大につなげる。