高耐電圧、低抵抗、広温度範囲の捲回型EDLC「DUKシリーズ」

エルナーの 電気二重層キャパシタ [引用:エルナー株式会社]

　エルナーは電気二重層キャパシタ（ＥＤＬＣ）の製品ラインアップを拡充している。車載市場、産機・環境・エネルギー市場に重点を置いて新製品開発を加速している中、高耐電圧、低抵抗、広温度範囲の捲回型ＥＤＬＣ「「ＤＵＫシリーズ」を開発し、サンプル出荷を開始した。タイ・チェンマイ市で稼働しているタニンエルナーにおいて、８月から量産を開始する予定。

　既にドライブレコーダ、緊急時ドア解放システムなどの車載市場および幅広い温度環境で長期の使用が要求されるスマートメーターなどのより高エネルギー、低抵抗、広温度範囲が求められる分野で採用検討が進められているという。

　新製品は、耐電圧性および低抵抗、低温度特性に優れた電解液を採用することで、従来の「ＤＵシリーズ」に比べて高耐電圧化を実現した。

　最大使用電圧は「ＤＵシリーズ」が２.７Ｖ（最大使用温度６５度）および２.３Ｖ（８５度）だったのに対して、新製品は３Ｖ（６５度）および２.５Ｖ（８５度）と高耐電圧化を達成。高温対応とともに４０度の低温対応も同時に実現しているため、幅広い温度範囲で使用できる。さらに内部抵抗が小さいため、急速充電・大電流放電（アンペアレベル）が可能。

　また、Ｃｄ、Ｐｂのような環境負荷物質を含まないため環境にやさしく、電池のように化学反応を伴わないため充放電特性に優れる。

　静電容量は１―１０Ｆ。ＥＳＲは３００―５５ｍΩ。保証寿命は６５度・３Ｖで１千時間、８５度・２.５Ｖで１千時間。サイズはφ８×１２―φ１０×３０ミリメートル。

　ＥＤＬＣは、活性炭と電解液の界面に発生する電気二重層を動作原理として利用したコンデンサ。従来のコンデンサで用いられている固有物質の誘電体はなく、また、電池のように充放電に化学反応を利用したものでもないため、小型でファラド（Ｆ）単位の静電容量が得られ、特別な充電回路や放電時の制約が不要。また、過充電、過放電を行っても電池のように寿命に影響することがない。環境性に優れたクリーンエネルギーとして使用できる。さらに電子部品としてはんだ付けできることから、電池のように脱落や接続不安定にならない。

　同社は、これまでもＥＤＬＣの新製品開発を展開し、用途に最適化した製品ラインアップを拡充してきた。今回の新製品は、車載からエネルギー関連まで幅広い分野のバックアップ用途に対応できるのが特徴的。