車載、産業機器向け小型ハイパワーの金属タイプシャント抵抗器「PSRシリーズ」

ロームのシャント抵抗器 「PSRシリーズ」 （右からPSR100/400/500）

　ロームはシャント抵抗器を拡充する。

　高電力が必要な車載や産業機器などの大電流回路の電流を検出する抵抗器として需要が増大している、小型ハイパワーの金属タイプシャント抵抗器「ＰＳＲシリーズ」を増産する。定格電力３Ｗの高電力で外形寸法６.３５×３.０５ミリメートル（２５１２インチ）の小型品「ＰＳＲ１００」を新たに加えて、シャント抵抗器の小型化の要望にも応える。

　ＰＳＲシリーズは「ＰＳＲ５００」（定格電力５Ｗ、外形寸法１５×７.７５ミリメートル＝５９３１インチ）、「ＰＳＲ４００」（同４Ｗ、同１０×５.２ミリメートル＝３９２１インチ）と合わせて３タイプを取りそろえた。テーピング供給によるリフローはんだに対応する。

　生産工場のローム　インテグレーテッド　システムズ　タイランド（パトムタニ県ナワナコン工業団地）のシャント抵抗器も、４月からＰＳＲ１００を月１５万個で量産を始め、月産５０万─６０万個のＰＳＲ５００／４００と合わせて同６５万─７５万個に引き上げた。

　パワーマネジメントＩＣと組み合わせて車載モーター制御、無停電電源装置のインバータ用駆動回路やリチウムイオンバッテリ保護回路、電動工具などのＤＣブラシモーター用駆動回路、４８ＶＤＣ／ＤＣコンバータ回路などで供給する。電子化の進展でＥＣＵの数が増加し、搭載スペースの削減が課題の車載用には小型品ＰＳＲ１００を拡販していく。

　ＰＳＲ１００は抵抗値範囲０.３─３.０ｍΩ、ＴＣＲ±１５０─±５０ｐｐｍ／度。ＰＳＲ１００と同程度の電流に対するカレントトランスからＰＳＲ１００に置き換えた場合、実装面積で約５分の１─２０分の１に、高さも約６分の１─１３分の１に低減できる。

　ＰＳＲシリーズは抵抗体金属に高機能のニッケル（Ｎｉ）―クロム（Ｃｒ）系合金または銅（Ｃｕ）―マンガン（Ｍｎ）系合金を使用する。超低抵抗領域でも優れた抵抗値温度係数（ＴＣＲ）を達成した。抵抗値範囲は０.３ｍΩの超低抵抗領域から３.０ｍΩまで、ＴＣＲも±２５０ｐｐｍ／度─±５０ｐｐｍ／度までラインアップした。

　周囲温度の変化に対する抵抗値変化を少なくし、機器の動作ばらつきを抑えることができる。車載や産業機器などの厳しい温度保証が求められるセット回路にも余裕を持って使えるため、設計負荷の軽減やアプリケーションの小型化が図れる。

　大気中で溶接できる独自の高エネルギー密度溶接を用い、抵抗体金属に厚い銅（Ｃｕ）の電極材を接合。抵抗体金属と基板の間の距離ができる凸型の逆ガルウイング形状にして基板への熱ストレスを低減。放熱性を高め、小型サイズと高電力の相反する特性の両立を可能にした。抵抗値許容差Ｆ（±１％）、使用温度は−５５─＋１７０度。