4G/5Gマルチバンド無線通信基地局に要求される高いスペクトル効率を有するADコンバータ「AD9172」と「AD9208」の発売を開始。

AD9172��とAD9208

　アナログ・デバイセズ（ＡＤＩ）はこのほど、新高速Ｄ／Ａコンバータ「ＡＤ９１７２」と、それと補完関係にあるＡ／Ｄコンバータ「ＡＤ９２０８」を同時発表、発売を開始した。両者とも２８ナノメートルプロセスのＣＭＯＳ技術を使用。４Ｇ／５Ｇマルチバンド無線通信基地局に要求される高いスペクトル効率を有する。

　前者は、最大６ＧＨｚのダイレクトＲＦ合成を実現、ＩＦ／ＲＦアップコンバージョン段とＬＯ回路が不要。これにより、ＲＦシグナルチェーン全体を簡略化、システム全体コストを削減する。

　また、全ＲＦ周波数帯で優れた直線性とノイズ性能を維持、最高レベルの構成可能性を持つシステム設計を実現。独立数値制御発振器（ＮＣＯ）、デジタルゲイン制御、入力チャンネルごとの多様なインターポレーション・フィルタ構成で、設計時に豊富な信号処理オプションを利用でき、アナログおよびデジタル領域間での柔軟なシグナルチェーン・パーティショニングが可能。設計者はソフトデファインド・プラットフォームの開発を促進できる。

　後者は、業界標準のインターフェイスを備えた小型パッケージに収納され、広入力帯域、高サンプリングレート、優れたリニアリティ、低消費電力などの特性を要求されるアプリ向けに最適化されている。同製品は製品設計時のプロセッサプラットフォーム選択や同社の広帯域ＲＦデータアクイジション技術を用いた信号処理パーティショニングを柔軟に行える。最大３.０ＧＳ毎秒のサンプリング速度によりダイレクトＲＦ信号処理アーキテクチャを容易にし、高いオーバーサンプリングを実現。フロントエンド・フィルタリングを単純にでき、レシーバ設計の複雑化を回避、システム全体コストを削減可能。

　また、６ＧＨｚ超の広帯域信号をダイレクトＲＦサンプリングでき、柔軟性が向上、ミキサー段を不要にした。さらに、内部クロック分周器とオプションのＲＦクロック出力がシステム設計をより簡略化する。

　ＡＤ９１７２は１千個注文時２４０ドル／個。ＡＤ９２０８は同１３２６ドル／個となっている。