IoT無線トランシーバ向け、超低消費電力を実現した完全デジタル回路（ADPLL)を発表

ロームとＩＭＥＣが ＩＳＳＣＣで発表したＡＤＰＬＬ

　ロームとベルギーのナノテク技術研究機関ＩＭＥＣは８日、サンフランシスコでの国際固体素子回路会議（ＩＳＳＣＣ）で超低消費電力を特徴としたＩｏＴ無線トランシーバ向けの完全デジタルＰＬＬ（ＡＤＰＬＬ）回路を共同発表した。ＰＬＬ（位相同期回路）は入力信号や基準周波数と、出力信号との周波数を一致させる電子回路。一般的に無線通信機の中で最も電力を消費する部品ブロックで、全体の電力消費の３０％強を占めるとされている。

　無線用部品であるＰＬＬは以前からアナログ型が多く、研究者は低消費電力のデジタル化に取り組んできた。

　今回発表したＡＤＰＬＬは１ｍＷを下回る０.６７ｍＷの低消費電力で４０ナノメートルＣＭＯＳプロセスを採用、しかも０.１８平方ミリの小型サイズを実現した。業界初の完全デジタル回路で、安定した信号を送り出す。

　両社は、同回路がＢＬＥ（ブルートウース・ローエナジー）の全ての仕様をサポートするほか、システムのコスト削減にも大きな役割を果たすとしている。

　両社によると、ＡＤＰＬＬはアナログＰＬＬの代替になることは確実としており、ロームではＩｏＴ向けにＡＤＰＬＬを搭載したＲＦトランシーバを開発していく。