三菱マテリアル
ランガサイト単結晶3インチウェーハー

　三菱マテリアルはランガサイト単結晶事業において3インチウエハーを100ドルで供給できる体制を目指す。ランガサイトは移動体通信分野で市場が拡大しているSAW（弾性表面波）フィルターの基板材料として現在主流の水晶に代わるものとして期待されている単結晶。現在、3インチウエハーを5万円/枚で供給している同社だが「今後、グローバルな視野で普及させるためにはユーザーが求めやすい価格にすることが必要」（先端事業本部＝森川正樹取締役事業本部長）としている。

　同社は先にロシアのフォモス社およびその日本総代理店であるサンテックとの間で、ランガサイト単結晶の技術導入契約を結んでいる。この契約には日本とアジア地域における独占製造、販売権も含まれているという。三菱マテリアルではこのランガサイト単結晶の3インチウエハーを月間100枚程度供給できる体制にあるが、年内には同1000枚規模に供給能力を拡大する計画だ。

　しかしながら、現在携帯電話のIFフィルターとして用いられている水晶ベースのSAWフィルターの市場価格は急速に低下しており、ランガサイトを基板材料として用いるためにはユーザーが受け入れやすい価格にすることが必要。特に次世代移動体通信のデジタル通信方式として期待が高まるW-CDMAへの搭載などを踏まえ、価格競争力を強化する考えだ。ランガサイトは水晶に比べ電気機械結合係数が3-4倍であること、優れた周波数温度特性を示すこと、等価直列共振抵抗が小さい-などの特徴を持つため、低損失で小型の広帯域フィルターを実現できる。

　同社の先端事業本部では情報通信分野に関連する材料の育成に取組みを強めており、ランガサイトの事業化もその一環である。