独自コア「U16」採用の高性能低消費電力の１６ビットマイコン

ラピスセミコンの１６ビットマイコン 「ＭＬ６２０　５００シリーズ」

　ロームグループのラピスセミコンダクタは新開発の１６ ビットＣＰＵコア「Ｕ１６」を採用した１６ ビットローパワーマイコンを開発した。Ｕ１６は８ ビット マイコンで採用している独自開発の８ ビット ＣＰＵコア「Ｕ８」をベースとして１６ ビットに拡張したオリジナルコア。

　液晶表示をセグメントからグラフィック、モノクロからカラーへといったグレードアップやＮＦＣインターフェイス機能の追加など、同社従来品の８ ビットマイコン（クロック周波数４メガヘルツ）では性能不足の用途向けに８ ビットマイコンの低消費電力の特徴を維持しながら新たにクロックスピード１６メガヘルツの１６ ビットマイコンを開発し、高性能処理ニーズに応える。

　腕時計、関数電卓ではトップシェアの８ ビットマイコン同様、１６ ビットマイコンでもロガーなどのセンサー制御端末、家電制御、家電・産業操作パネル、パーソナルヘルスケア、電子棚札、サーモスタット、メーター、工具・産業制御など幅広い市場でシェアを取っていく。

　第１弾として汎用のスタンダードタイプのウルトラローパワーシリーズ「ＭＬ６２０　５００シリーズ」（３２／６４／１２８キロバイトセルフ書き込み機能付きフラッシュメモリー内蔵、パッケージ４８ピンＴＱＦＰ）を１０月からサンプル出荷し、１２月に量産に入る。電子棚札、サーモスタット、通信機能を備えたデータロガーなどの需要を取り込む。

　第２弾として「高ノイズ耐性シリーズ」（パッケージ４８ピン以下）を近くサンプル出荷する。ノイズの多い環境下で高速演算が必要な家電製品、電動工具、ファンモーターなどに供給する。１５年には「ＬＣＤドライバー内蔵シリーズ」（８０―１００ピン）をラインアップする予定。銀行トークンなどの高速演算処理が求められる液晶ディスプレイ搭載機器向けの高機能要望に応える。

　いずれも生産は８ ビットマイコン工場のラピスセミコンダクタ宮城（宮城県）で行う。１６ ビットＣＰＵのコアＵ１６を採用。８ ビットＣＰＵコアのＵ８で５００ナノＡだったＨＡＬＴ電流を４５０ナノＡと１０％低減した。

　また、従来１通りだった省電力モードを３通りに拡張。複数のパワーダウンモードを追加し、高速処理による消費電力増加を複数のパワーダウンモードの最適な組み合わせにより抑え、マイコン全体の平均消費電流の低減を図った。