ウルトラPC向け2.5インチHDD用スピンドルモータープレート他

　日本電産は、１３年３月期（１２年度）下期から来夏にかけて新技術を採用した新製品を積極的に市場投入する。

　小部博志副社長は「市場変化が激しく、技術革新のスピードが速くなる中で、他社が真似できない新しい技術、要素技術を使って新市場だけでなく、既存市場の需要もつかんでいくことがますます重要だ」と語る。

　主力の精密小型モーター事業の２.５インチＨＤＤ用スピンドルモータープレートで記録容量５００ギガバイトのプレート５ミリメートル厚１枚用、同１テラバイトの７ミリメートル厚２枚用、同１.５テラバイトの９.５ミリメートル厚３枚用を業界トップを切って来春ウルトラＰＣ用に量産を開始。記録容量５テラバイト、７テラバイトのクラウドシステム、データシステム用の３.５インチＨＤＤ用スピンドルモータープレートでは空気抵抗を小さくして円板数を増やすヘリウムガス密封タイプを来春から供給する。

　また、ファンモーターにＨＤＤ用スピンドルモーターで培ったＦＤＢを軸受に使用。小型、長寿命化、静音化を実現。厚さ３.５／４／４.５／５／５.５ミリメートルの５サイズを取りそろえ、ウルトラＰＣ向けに供給を開始したウルトラフローＦＤＢファンモーターを８月から量産を開始した。３.５インチ用ＨＤＤスピンドルモーターのＦＤＢを軸流大型ファンモーターの軸受に用い低振動の要望に応えた４０―１２０ミリ角、厚さ２０―４０ミリメートルの軸流ファンモーターもサーバー電源用などに８月から供給を始めた。

　来夏には汎用モーターにおいて丸コアをまっすぐにした展開コアにアルミ線を巻線しコイルにし、スロット面積に対するコイル量を従来の丸コアタイプが４０％だったのを６０％に増量。効率を上げ、ローコストのブラシレスＤＣモーターを扇風機用に供給を開始する。すでに中国メーカー６社に供給が決定。さらに採用メーカーを増やすため拡販を進める。

　今夏、従来品より３割小型化、高機能化したブラシ付きＡＣモーターを扇風機向けに発売。今シーズン累計１００万個を出荷。来シーズンは累計１千万個の出荷を見込んでいるブラシ付きＡＣモーターと合わせてローエンドの扇風機市場でも高シェアを狙う。

　小部副社長は「枯れたと言われている古い市場でも新しいテクノロジーを使えば、まだまだ開拓できる。新しいテクノロジーで新市場、既存市場を開拓し、次の段階では新しいテクノロジーを安く供給する。市場を開拓し、シェアを確保していくにはこうした取り組みが大切だ」と話している。