MAC部無しの無線通信LANモデムモジュール

　図研エルミックは、産業分野などに向けた無線通信ＬＡＮモデムモジュールとして、ＭＡＣ部を持たず、ＲＦとベースバンド（ＰＨＹ部）のみで構成する「Ｚｅ―Ｍｏｄｕｌｅ　ＷＬＡＮ」を発売した。ユーザー独自の通信ルール（プロトコル）を実現するＭＡＣを使った無線ＬＡＮモデムを構築できる。初年度３千台以上の販売を目指す。

　製造装置の保守システムや大規模な照明システムなど産業分野では、機器間の接続に無線ＬＡＮを用いるケースが増えている。またそれらの用途では、通信の秘匿性や通信のリアルタイム性などを重視するため、規格化されているＭＡＣ／プロトコルではなく、独自のＭＡＣ／プロトコルを搭載する場合がある。

　一方で、無線ＬＡＮモデムＩＣは、ＰＨＹ部と標準的なＭＡＣ部を一体化した製品が主流となり、ＰＨＹ部だけで構成するＩＣの入手は困難になっている。

　図研エルミックでは、市場ニーズに応え、ＴＣＰ／ＩＰ用ミドルウエアなどの開発ノウハウを生かし、ＰＨＹ部のみで構成するベースバンド（ＦＰＧＡベース）を開発。ＲＦ部と同ベースバンドで構成するモジュールとして製品化し、販売を開始した。同モジュールにユーザーの独自ＭＡＣを外付けすることで、独自無線ＬＡＮ通信モデムが構成できる。ＩＥＥＥ８０２.１１ｂ準拠で最大転送速度１１メガｂｐｓに対応する。

　アンテナや評価用ＭＡＣなどを実装したボードなどで構成する評価用キットも無償貸し出し中。同キットでは転送速度５.５メガｂｐｓで伝送距離約３００メートル（開放空間）を実測し「長距離伝送対応も新製品の特徴」としている。