２色同時印刷を実現したインクジェットプリントヘッド

　京セラは、商業用インクジェット印刷機の基幹部品であるインクジェットプリントヘッド（以下、ヘッド）で業界初の２色同時印刷を実現した解像度３００ｄｐｉ、印刷速度１５２メートル／分の有効印刷幅４インチ（１１２ミリメートル）品を開発した。

　これまでヘッドは１ヘッド１色印刷で、４色フルカラー印刷する場合は４本のヘッドを印刷機に搭載していた。新開発のヘッドを使えば２ヘッド搭載で４色カラー印刷できる。ヘッド数を削減できるため周辺部品のコネクタや配線、インク配管などを大幅に減らせる。有効印刷幅が１１２ミリメートルと幅広印刷でもヘッド使用本数を減らせ、複数ヘッドの実装精度を向上、組み立て負荷を低減できる。

　印刷のデジタル化が進むラベル印刷用や服地などの生地にデジタル印刷する捺染印刷向けなどに１２月にサンプル出荷を開始し、１３年半ば以降に量産を始める。鹿児島国分工場で月産数百本からスタートし、早い時期に同数千本まで増やす計画だ。

　鷹尾仁志執行役員薄膜部品事業本部長は「今回の製品投入によって、“よりコンパクトに”を具現化したプリントヘッドをラインアップできた。印刷速度や画質向上に加えて、機器設計の容易性など幅広いニーズに応えていけるものと確信している」と言う。

　新開発のヘッドは、インクの流路を二つに分けることにより、１ヘッドで２色同時印刷を実現した。水系、ＵＶ両インクに対応。圧電アクチュエータの駆動周波数３０キロヘルツ　で解像度３００ｄｐｉ、２色同時印刷ヘッドとして世界最速１５２メートル／分（３００ｄｐｉ送りの２色同時）の印刷を可能にした。

　同社は、０８年に高速商業印刷用インクジェットプリントヘッドに参入。有効印刷幅４インチ品で解像度６００ｄｐｉ（印刷速度７５メートル／分、駆動周波数４０キロヘルツ　）、１２００ｄｐｉ（同１００メートル／分、同８４キロヘルツ　）を生産し、高速商業印刷用インクジェットプリントヘッドで５０％以上のシェアを持つトップメーカー。今回３００ｄｐｉ品（同１５２メートル／分、同３０キロヘルツ　）を加え、昨年から従来のロータリスクリーン印刷からデジタル印刷への切り替えが進み、ヘッドの需要が急拡大している捺染印刷のインクジェット印刷機などで求められている廉価な高速ヘッド需要に応えていく。