ICカード向け厚さ0.3ミリの二次電池「有機ラジカル電池」

　NECは、薄くて曲げられるなどの特徴を有する二次電池「有機ラジカル電池」において、ICカードに内蔵可能な厚さ0.3ミリメートルの超薄型電池を開発した。

　NECが提案した、プラスチックの一種である有機ラジカル化合物を電極活物質に用いた電池は、薄型・柔軟性・高出力性・高速充電が可能などの優れた特徴を持つ。しかし、従来はICカードに内蔵するまでの薄型化はできなかった。

　今回、印刷技術を適用して、従来比半分以下の厚さ0.3ミリメートルを実現した。電池を包み込む外装材として、回路基板にも利用可能な厚さ0.05ミリメートルのポリマーフィルムを使用。印刷技術で負極を回路基板上に直接形成し、この負極の上にセパレータ絶縁体、ラジカルポリマー正極などを積層して薄型化を達成した。

　回路基板上には小型電子部品も実装可能で、電池に加えてアンテナ、ICを実装した回路基板を用いることで、電池を内蔵した規格サイズのICカードが実現可能となった。

　3センチメートル角、厚さ0.3ミリメートル、容量3mA時の電池試作品において、体積当たりの出力密度5kW／Lの高出力性を確認した。これは、1回の充電により2千回の表示画面更新が可能であることを意味する。

　また、充放電サイクル試験では、携帯電話用リチウムイオン電池と同等の、500回の充放電で初期容量比75％の容量の維持を確認した。