「アナログ・フロントエンド回路」を１パケージ化したIC2品種

　米ナショナルセミコンダクター（ＮＳ）は、センサーからの信号を処理してマイコンなどに出力する「アナログ・フロントエンド（ＡＦＥ）回路」を１パッケージ化、多様なセンサーに対応できるＩＣを開発し、第１弾製品（２品種）の販売を開始した。従来２０個程度の部品で構成していたＡＦＥ部を１個のＩＣとわずかな外付け部品で構成でき、開発期間も週単位から時間単位に短縮できる。

　開発した製品「センサＡＦＥ」は、アンプ、ＡＤコンバータ、マルチプレクサ、インターフェイス、基準電圧源などＡＦＥの各機能を集積する。電流源やＡＤＣのサンプリングレート、ゲインレベルなどをプログラムでき、温度、ガス、ブリッジなど、様々なセンサーを使った多種多様なシステムに、１個のＩＣで対応できるという特徴を持つ。

　 第１弾製品のＬＭＰ９０１００は、２４ビットの高分解能ＡＤＣコアを搭載したマルチチャンネル対応品。四つの差動入力または七つのシングルエンド入力に対応。全温度範囲にわたり、ゲインエラーやオフセットを効率的に除去する「バックグラウンドキャリブレーション機能」も備え高精度を誇る。

　 また、各種ガスセンサーを使用するシステム向けにＬＭＰ９１０００も発売。検知するガスの種類に応じ異なるバイアス電圧を可変できるなどのプログラマブル性を備えるほか、バッテリ駆動を前提とした超低消費電力を特徴とする。

　 同社は、センサＡＦＥファミリー専用の開発環境も用意。オンライン型の開発環境で、使用するセンサーを選択するだけで回路設計が行える。消費電力や性能、コストを最適化するための調整も容易に行えるなどの特徴を持つ。

　 同社プレシジョンシグナルパスディビジョンのジェームス・アッシュバイスプレジデントは「革新的な技術であり、センサＡＦＥのビジネスが拡大すると信じている。設計者はこれまで膨大なデータシートを読み、設計、検証しなければならなかったが、センサＡＦＥと開発環境により、大幅に設計が容易になる」と語っている。