厚さ80μメートル精細度121ppiの4.1型有機カラーELディスプレイ

　ソニーは２６日、細い棒状に巻き取れる厚さ８０マイクロメートル、精細度が１２１ｐｐｉの４.１型有機ＴＦＴ（有機薄膜トランジスタ）駆動のフルカラー有機ＥＬディスプレイを開発したと発表した。

　 独自開発の有機半導体材料（ＰＸＸ誘導体）を用い、有機ＴＦＴの駆動力を従来比８倍に向上させたことで実現した。

　 ２０マイクロメートルの極薄で柔軟な基板上に有機ＴＦＴと有機ＥＬを集積化する技術も重要で、巻き取りに邪魔になっていた従来の固いＩＣチップの代わりに、柔らかい有機ＴＦＴでゲートドライバー回路を形成し、集積回路中のすべての絶縁膜を柔らかい有機材料で構成する技術も組み合わせた。

　 曲率半径４ミリメートルで巻き取りながらの動画再生もできる。耐久性にも優れ、１千回の巻き戻しの繰り返し試験でも、ディスプレイの表示性能に劣化がないことを確認した。有機半導体材料や有機絶縁膜は、溶媒に溶かすことによるインク化が容易で、塗布や印刷プロセスでディスプレイデバイスの作製を可能にする。

　 今回の成果は、薄くて軽く、耐衝撃性や収納性に優れたモバイル機器への応用が期待できるという。研究成果は、米国シアトル市で開催中のディスプレイ関連学会で発表される。