090925_02
日付 |
メーカー名 |
製品分類 |
分類 |
用途 |
9月25日 |
090925_02 |
ヴァレンスセミコンダクター(イスラエル) |
半導体集積回路 |
専用IC |
通信インフラ用 |
LANケーブル1本で5プレイ実現の「HDBaseT」用チップセット
1本のLANケーブルで、HDビデオ、音声、イーサネット、制御信号の伝送に加え電力供給と、「5プレイ」を実現――。イスラエルのファブレス半導体メーカー「Valens(ヴァレンス)セミコンダクター社」は、テレビなどAV機器に必要なあらゆるケーブルを、LANケーブルに用いられるカテゴリ5ケーブル1本に集約可能な「HDBaseT(エイチディーベースティ)」という伝送技術を開発、同技術を実現するチップセットの量産を12月にも開始する。
昨今のテレビは、BDプレヤーなどからの映像、音声、機器制御信号を送受信する「HDMI」、インターネット接続用の「LAN」のケーブル接続のほか、電源ケーブルと3本のケーブルが必要となる。
ただ、配線は設置場所を限定し「壁掛けテレビ」の実現の足かせ要因となっている。また、異なる部屋のコンテンツを再生するなどホームネットワーク実現には、長い距離を安定してデータ伝送できる技術が必要で、伝送距離が10メートル程度のHDMIなどでは実現が難しい、といった課題を抱える。
■著作権保護に対応
これらの課題を解決する技術として開発したのが「HDBaseT」だ。HDMI1・4、100メガbpsイーサネット、イーサネットケーブルを介して電力供給する「PoEプラス」(パワーオブイーサネットプラス)、さらに機器制御信号伝送のHDMI CEC/RS232といったインターフェイス規格に準拠し、これらのデータ伝送を安価なカテゴリ5ケーブル1本で可能とする。最大伝送距離は100メートルで、HDMIに比べ大幅に長い。HDCPなどの著作権保護にも対応している。
伝送可能な映像は、HDMIと同様に非圧縮で1080p・60ヘルツ・48ビットの高品質のままリアルタイム伝送できる。PoEプラス規格準拠で最大50Wの電力も供給可能。40型までの液晶テレビなら「LANケーブル1本で5プレイ」が可能な画期的な技術となっている。
既に同社は、9月からHDBaseTの物理層を実装した第1弾のチップセットのサンプル供給を開始。今月ドイツで開催された「IFA2009」では、船井電機が同チップセットを用いた「宙に浮くテレビ」の参考デモを公開し、多くの注目を集めた。
「既に実用化されている規格をインテグレートして実現しているため、新規のインターフェイス規格ながら、非常に安定していることが特徴。独自のエラー訂正技術などでノイズにも強い」(日本事務所・井口信太郎ゼネラルマネージャー)。
第1弾のチップセットは映像伝送速度10.2ギガbpsで、1対1通信という性能だが、第2世代品ではデイジーチェーン通信対応で四つの1080p映像を多重伝送できるホームネットワーク対応品を計画。早ければ、10年1―3月にもサンプル出荷を開始する。
同社では当面、HDBaseTとHDMI、イーサネットなどをブリッジする外付け端末(ドングル)での普及を目指す方針。その後、AVレシーバなどへの組み込み化を見込んでいる。
井口GMは「当初は、デジタルサイネージや監視カメラなど業務用途でのHDMI延長端末としての普及が始まる見込み。チップセットだけでなく、モジュール、ボードでの提供も行う」としている。
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