アナログTVで地デジを視聴できるシステムLSI「EMMA2TS」

　ＮＥＣエレクトロニクス（中島俊雄社長）は１４日、現行のアナログＴＶでも地上デジタル放送（地デジ）の視聴可能なシステムＬＳＩ「ＥＭＭＡ２ＴＳ」を開発、サンプル出荷を開始したと発表した。

　サンプル価格は2000円。０９年度第１四半期（４―６月）から、ＮＥＣセミコンダクターズ山形で９０ナノメートルプロセスにより量産開始を予定。１０年には月産３０万個を計画している。新製品は、総務省およびデジタル放送推進協会（Ｄｐａ）が地デジ完全移行に向けて公表した「簡易チューナー」の仕様ガイドライン準拠。

　日本の地デジ規格「ＩＳＤＢ―Ｔ」に準拠するフルセグのＯＦＤＭチャネルデコーダ（復調器）、ＭＰＥＧ２信号の伸張（デコード）機能、画像表示機能など、地デジ放送受信機に必要な機能を１チップ上に集積した。セットメーカーは、この製品を採用することで、簡易なチューナを容易に構築できる。また、消費電力を１Ｗ程度と抑制した省エネタイプ。

　従来のデジタルＡＶ向けチップのＥＭＭＡシリーズ製品の回路構成を最適化、簡易なチューナ実現のために大幅に回路を削減し、発熱量の低減に成功した。ヒートシンクの外付け不要により、部品点数や容積を削減できる。

　「新製品は、全世界の顧客に、累計9000万個近くに達している既存のＥＭＭＡ製品のハード／ソフト資産を継承している。簡易なチューナ以外のＰＣモニター、パーソナルＴＶ・フルセグＴＶやＡＶアンプ・パーソナルコンポなど幅広い分野への応用を期待している」（ＳｏＣシステム事業部・板垣克彦事業部長）。