第3世代携帯電話通信仕様の発展系超高速データ通信を実現する業界初のマルチモードLTE(Long Term Evolution)マルチモードチップセット9ｘｘｘシリーズ3種類

　米クアルコムは、業界初のマルチモードＬＴＥ（Ｌｏｎｇ　Ｔｅｒｍ　Ｅｖｏｌｕｔｉｏｎ）チップセットを０９年第２四半期（４―６月）にもサンプル出荷すると発表した。ＬＴＥは第３世代携帯電話通信仕様の発展系で、超高速データ通信を実現。新チップセットは既存のＵＭＴＳ、ＣＤＭＡ２０００ネットワークとの上位互換性を提供し、通信事業者がシームレスにＬＴＥサービスにアップグレードできるよう支援する。

　新製品は、マルチモードチップセット「ＭＤＭ（モバイル・データ・モデム）」９ｘｘｘシリーズ３種類。ＬＴＥのほか、第３世代の高速無線データ通信用国際標準規格である他の３ＧＰＰ、３ＧＰＰ２をサポートすることで、業界に大きな柔軟性を提供。現行の第３世代ＵＭＴＳとＣＤＭＡ２０００通信網との互換性を維持し、これら方式を採用する通信事業者が将来、ＬＴＥサービスにスムーズに移行できるようサポートする。

　新ファミリーは、ＵＭＴＳ、ＨＳＰＡプラス、ＬＴＥ対応の「ＭＤＭ９２００」、ＥＶ―ＤＯ　Ｒｅｖ・Ｂ、ＵＭＢ、ＬＴＥ対応の「ＭＤＭ９８００」、ＵＭＴＳ、ＨＳＰＡプラス、ＥＶ―ＤＯ　Ｒｅｖ・Ｂ、ＵＭＢ、ＬＴＥ対応の「ＭＤＭ９６００」で構成される。

　これら３種類は完全上位互換性を提供。ＦＤＤ（周波数分割複信）とＴＤＤ（時分割複信）の２重モードや異なるキャリア帯域幅をサポートし、下りで最大毎秒５０メガビット、上りで同２５メガビットのピーク・データレートに対応可能だ。

　ＬＴＥは、第３世代「Ｗ―ＣＤＭＡ」の高速データ通信規格「ＨＳＤＰＡ」を進化させたもので、ＯＦＤＭＡ（直交周波数分割多元接続）とＭＩＭＯ（マルチ入力、マルチ出力）アンテナ技術を使用する次世代携帯電話仕様で、３・９Ｇ、スーパー３Ｇ技術とも呼ばれる。現在、Ｗ―ＣＤＭＡ方式の標準化団体である３ＧＰＰが標準化を進めており、０８年末までにはＬＴＥ技術スペックの中核となる部分が開発される見通し。クアルコムは３ＧＰＰの標準化作業でリーダー的役割を果たしている。