電波プロダクトニュース
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同軸ケーブル用コネクター アイペックスが5月に量産を開始した細線同軸線用0.4ミリピッチコネクター「CABLINE―SS(キャブライン―エスエス)」は、最新の携帯電話で使用される直径5ミリ以下の小径ヒンジにケーブルを結線したまま通すことのできる業界唯一のコネクター。従来技術を集約し生まれたこのコネクターは、製品の小型化だけでなく、組み立て作業効率を向上させる部品として、大きな反響を呼んでいる。 携帯電話のヒンジは従来の折りたたみ式に加えディスプレイ回転式携帯電話の登場で構造が複雑化し、急速に小型化が進んでいる。キー操作側のメインボードとディスプレイ側のボードを結ぶケーブルを通すための穴「ヒンジ径」が5ミリ以下という小径なものも目立つ。 ヒンジ径の小径化は、ケーブルの両端に接続するコネクターが大きすぎてヒンジの中を通らず、ケーブルをヒンジに通してからコネクターに結線する手間を生み、製品組み立て時の作業性や部品調達を複雑にした。直径5ミリのヒンジ径にケーブルを結線したコネクターを通すためには、コネクターの幅(または高さ)と結線したケーブルの通るスペース分を合わせて5ミリ以下にする必要がある。 トップクラスの小型化技術 今年1月からユーザーの要請で開発に着手した同社は、嵌合実装高さ1ミリの極薄コネクターを量産化するなど、トップクラスの小型化技術を持ち「幅3ミリ、嵌合高さ1.6ミリ」の超スリムコネクターを開発。インサート成形などの従来技術を応用した。 5ミリのヒンジ径に対し、コネクターの幅が3ミリになったことで、2ミリのスペースは結線したケーブル(SGC AWG#42)が通る部分として余る。太さ0.064ミリ程度のケーブルなので2ミリの幅があれば簡単に通せそうだが、従来の結合技術では通せない。 従来、ケーブルとコネクターを結合させるために「ハンダ付け」を行う。この「ハンダ付け」の際、ケーブルの皮膜と銅線の間に「ハンダ」が2―3ミリ程度の長さで流れ込み、ケーブル本来の屈曲性を失わせる。このため、コネクターにつながる根元の約2―3ミリのケーブルが十分に曲がらず、ヒンジ径に引っ掛かる。 同社は、この「ハンダの流れ込み現象」を避けるため、「ハンダ付け」に代わる新たな結合技術として「かしめグランドバー」を開発した。新技術は、0.4ミリピッチのケーブルの間に、2本の銅合金の柱を約0.6ミリ間隔で作り、その間にグランドバーに相当する板を載せる。そして、銅合金の柱を、板を挟み込むように折り曲げて、ケーブルを押さえ込むもの。 当然、ケーブル内にハンダは流れ込まず、ケーブルは根元から十分に折れ曲がり、5ミリ以下のヒンジ径に通すことが可能となった。 ユーザーニーズに迅速対応 開発にかかわった技術本部第1開発技術部川部英二部長代理は、開発開始からわずか4カ月での量産化について「かしめグランドバーの原理は、アプリケーターなどのコネクターで実績のあるもの。主に、治工具の改良などで開発した。製品の信頼性を保ちながらユーザーのニーズに、迅速に対応するには従来技術を応用することが重要。今後も、ユーザーの要請に短期間で応えられる開発体制を維持、強化したい」とする。 「キャブライン―エスエス」は現在、月産100万個体制で量産しているが、受注が順調なことから、年内には月産200万個体制での量産が見込まれている。 |
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