電波プロダクトニュース



040716_02
 
日付 メーカー名 製品分類 分類 用途
7月16日040716_02 NCRC/富士通研 半導体集積回路 その他 光・光通信用

単一光子発生器



 東京大学先端科学技術研究センター・生産技術研究所ナノエレクトロニクス連携研究センター(NCRC)の荒川泰彦教授グループと富士通研究所は15日、世界で初めて通信波長帯での単一光子の発生器とその計測システムの開発に成功し、量子暗号通信の実用化に向けて大きく前進したと発表した。

光ファイバーを用いた1.3―1.55μ(マイクロ)mの実用的な通信波長帯で単1光子の送受信が確認できた。これにより、100キロメートル程度の伝送距離で、従来のレーザー光源を用いた量子暗号通信に比べ、約400倍となる100Kbpsの高速通信が可能となり、量子暗号通信技術が官公庁、金融、医療などの現場で実用化される可能性が高まった。 盗聴の可能性をゼロにできる量子暗号通信の実現には、1パルスに含まれる光子を1個に制限できる単1光子発生器が必要となる。

今回、量子ドットと呼ばれるナノメートルサイズの構造から効率良く光子を発生できる半導体素子を設計し、量子ドットにダメージを与えない半導体プロセスを開発した。 量子ドットはインジウムリン(InP)の膜の上にインジウムひ素(InAs)を素材に自己組織化によって立体構造を形成。InAs/InPドットは直径20―50nm、高さ2―3nm。この量子ドットは独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)ナノマテリアル研究所の佐久間主幹研究員グループと富士通研究所が共同で作成したものを用いた。

さらに、この量子ドットを真ん中に入れ込んだ直径600nm、高さ540nmの単1光子発生用の光学構造(半導体素子)を作った。同構造体はピラミッド状の上部尖り部分を削った形状に設計し、エネルギー変換で効率良く上方に光子を発生させることができる。この素子をアレイ状に並べて80μmの半導体チップを開発した。

今回の実験では0.5μ秒ごとに励起して電子を量子ドットに送り込み、光子1個を発生させた。量子ドットを用いた単1光子発生を通信波長帯で実現したのは、今回が世界初。 また単1光子の計測技術では、半導体素子から出る光を効率良く集光し、量子ドットから放出された光だけを通信用光ファイバーに送る単1光子送信システムと、ファイバーを通過した光を2手に分け、分けた光の受信タイミングを正確に測定できる単1光子受信システムを設計開発した。 2手に分けた光が同時計測されないことを確認することで、発生した光が単1光子であることを証明し、検出そのものの困難さを克服した。


| 全新製品情報 | 一般電子部品:製品別リスト |
|
電子デバイス:製品別リスト | 電子デバイス:用途別リスト |
|
ホームページへ戻る | 次データへ |