電波プロダクトニュース



191230_04
日付 メーカー名 製品分類 分類 用途
12月30日 191230_04 東レ 接続部品 コネクタ・プラグ・ジャック・ソケット 一般産業用

耐熱性を40度以上高めた高速伝送用PPSフィルム


新規PPSフィルムを使用したFPCケーブル

 東レは、ポリフェニレンサルファイド(PPS)ポリマーが持つ優れた誘電特性や難燃性、耐薬品性を維持しつつ従来に比べて40度以上耐熱性を高めて、融点に近い温度でも変形しにくい寸法安定性を持つPPSフィルムを開発した。次世代高速通信規格5Gなどに用いられる高速伝送用フレキシブルプリント基板(FPC)に適する。既にパイロットスケールでの技術を確立。20年度中に量産体制を整備する。

 5Gは、高周波技術を用いて、高速、大容量、多数の同時アクセス、低遅延を特徴とする。6ギガヘルツ以下の周波数帯域に加え、20ギガヘルツ以上の高周波数帯域が使用される。5Gに必要なFPCを構成する基板材料には、高周波数帯域で伝送ロスを少なくする誘電特性と、回路基板加工時のはんだに対する耐熱性などの特性を満たしている液晶ポリマー(LCP)フィルムが実用化されている。LCPは高コストで加工性に課題があるとされ、新たな素材の開発が期待されていた。

 PPSフィルムは、優れた難燃性、耐薬品性を有しながら、LCPフィルムと同等以上の誘電特性、特に温度や湿度の影響を受けにくい優れた性質を有する。しかし、高温域ではフィルム自体が変形しやすく、回路基板への加工時のはんだ耐熱性が不足していた。

 同社は、PPSフィルムの結晶構造を制御する独自技術を開発し、PPSポリマーの優れた特性を維持しつつ、耐熱性を大幅に高めることに成功した。開発品は、250度の加熱テストでフィルムが変形しないことを確認しており、耐熱性を高めたことによって、既存の回路基板加工設備を使用できることが期待される。

5G用など幅広く

 また、長年蓄積してきたフィルム内の分子鎖の配向を制御する技術により、低い厚み方向の熱膨張係数98ppm/度を実現。これにより回路基板の多層化による小型化設計が可能となる。そのため、5G用の伝送ケーブルやアンテナなど、幅広い用途展開が期待できる。

 同社は、2軸延伸PPSフィルム「トレリナ」に付与した高い熱寸法安定性とコスト競争力のメリットを生かし、まずは5Gスマートフォンを中心としたFPC市場での採用を進め、引き続き車載用途や基地局用途など、幅広い用途に展開していく考えだ。


| 全新製品情報 | 一般電子部品:製品別リスト |
|
電子デバイス:製品別リスト | 電子デバイス:用途別リスト|
|
ホームページへ戻る | 次データへ |