電波プロダクトニュース



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日付 メーカー名 製品分類 分類 用途
3月15日 130315_01 シャープ 半導体素子 ディスクリート 一般民生用

定格電圧600Vの窒化ガリウム(GaN)パワートランジスタ



 シャープは、定格電圧600Vの窒化ガリウム(GaN)パワートランジスタを開発した。省エネニーズが高まる中で、家電用電源や産業用電源の低消費電力化、高変換効率化に欠かせない次世代パワーデバイスとして成長が見込まれているGaNパワーデバイスの第1弾として600V耐圧のGaNパワートランジスタ(TO―220パッケージ)を開発した。

 4月15日にサンプル出荷を始め、今年末から月産25万個で量産を開始、GaNパワーデバイスに新規参入する。サンプル価格3千円(税込み)。600VのGaNパワートランジスタの量産は米トランスフォーム社に次いで業界2社目。本格量産するのは同社が業界初。

 江川龍太郎執行役員電子デバイス事業本部長は「30年近いシリコン半導体の開発、生産ノウハウと、LED生産で培ったGaN技術をベースに3年前からGaNパワーデバイスの開発に本格的に取り組んできた。信頼性試験などで計画より1年遅れたが、GaNパワートランジスタのサンプルを提供できる段階にきた。まず、世界中の商用電圧に対応できる600V耐圧品から量産する。トランジスタ、機能ブロックの電源モジュール、パワーモジュールの三つの事業展開を図り、低耐圧品やパワコンなどの産業用高耐圧品もラインアップし、15年には300億円市場に成長すると言われているGaNパワーデバイスで30%のシェアをとり、GaNパワーデバイス事業で100億円を売上げたい」と話している。

 シリコン(Si)基板上にGaNを結晶成長させたエピウエハーは当面外部購入し、将来自社生産する。前工程は福山工場(広島県福山市)の6インチ ラインを改造、後工程は当面福山工場の日本の協力工場で行い、将来インドネシア工場で行う予定。今年末から月産25万個で量産に入る。定格電圧600V、定格電流8.0A、オン電圧3.5V。オン抵抗はSiの3分の1の155ミリΩ、ゲート電荷量同2分の1の13nC、逆回復電荷量同40分の1の65nC。

 新開発のGaNパワートランジスタを使えば、従来のSiパワートランジスタ(240VAC入力90W出力時)に生じていた9.8Wの電力ロスを7.9Wに抑え、電力変換効率を約20%改善できた。ACアダプタ使用時で約20%の損失低減、2%の電力効率向上を確認した。受動部品メーカーとも協業し、現在の約半分の体積のPC用ACアダプタを1年後に商品化する予定。

 家庭用エアコンのインバータ回路に搭載すれば、16・6Wの電力ロスを約60%改善し、7.3Wに抑え、エアコンの消費電力を約1%低減。年間約7.4kWh(期間消費電力量換算)の省エネ効果があることも確認した。

 江川執行役員は「3周遅れの炭化ケイ素のSiCを開発しても先行メーカーになかなか追いつけないので、SiCパワーデバイスは手がけない。パワーデバイスのエンジニアをGaNパワーデバイスに集中させ、まずはACアダプタ、スイッチング電源からエアコン、冷蔵庫、パワコンまでの省エネ、節電ニーズに応えていく」と言う。



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