電子部品メーカーが電池事業を強化

CEATECで新製品相次ぐ

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CEATECアワードの
デバイス&テクノロジー部門でグランプリを
受賞した日本ガイシのチップ型
セラミックス二次電池が注目される

 電子部品メーカーが電池事業への取り組みを強化している。千葉・幕張メッセで18日まで開催されたCEATEC 2019の電子部品メーカーのブースでは、小型リチウムイオン電池や全固体電池の新製品が相次いで出品された。

 次世代高速通信規格5Gの本格的なサービス開始を前に、5Gの高速・大容量伝送の特徴を生かしたIoT関連端末などの新製品開発が活発化することに着目。電子部品メーカーは、二次電池が電子部品と同じ扱い(実装など)となり、ビジネスチャンスが到来すると展望している。

 村田製作所が開発した業界最高水準の電池容量を持つ全固体電池は「CEATECアワード」経済産業大臣賞を受賞した。電解質に酸化物セラミックスを用いて「燃えない」「熱に強い」特性を有する。外形寸法は縦5-10×横5-10×高さ2-6ミリメートル。容量2-25mAh(25度)、定格電圧3.8V。

 日本ガイシは、チップ型セラミックス二次電池「EnerCera」シリーズを対象にCEATECアワードのデバイス&テクノロジー部門でグランプリを受賞した。同シリーズは、電極に独自の結晶配向セラミックス板を使用した小型・薄型でエネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池。耐熱性が高く、デバイスへの高温実装に対応できるのが特徴だ。ICカードにホットラミネート加工で実装できる「EnerCera Pouch」と、回路基板へリフローはんだ実装できる「EnerCera Coin」の2タイプをそろえる。

 TDKは、オールセラミックで4.5×3.2ミリメートルサイズの全固体電池を紹介した。定格電圧1.4Vで容量100μAhを実現。センサーと一緒に使用するなど、海外市場を中心に用途が具体化してきたという。

 FDKは、富士通研究所と17年2月に開発した高電位正極材料「ピロリン酸コバルトリチウム」を用い、18年12月、全固体電池を開発。4.5×3.2×1.6ミリメートルサイズで、体積エネルギー密度が65Wh/Lの高容量化、業界最高の電池容量500μAhを実現している。公称電圧は3V。

 太陽誘電は、全固体リチウムイオン二次電池を開発した。微粒子材料合成技術や薄層シート化技術、多積層技術、異種材料の一体焼成技術といったMLCC技術を応用し、安全、安定な電池を実現。4.5×3.2×1.6ミリメートルサイズ。薄膜電池の応答性、バルク電池の容量密度の両立を目指した。

 ニチコンは「蓄電のニチコン」をキャッチフレーズに、家庭用蓄電システム(4.1-16.6kWh)や、EVから建物、系統電力、家庭へ電気を安定供給する「EVパワー・ステーション」を紹介。IoT向けとして、エネルギー密度とパワー密度を両立する小型リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」も出品した。