【ソウル支局】韓国のサムスン電子が次世代高速通信規格5G基地局市場に攻勢をかけている。携帯電話インフラでは中国のファーウェイ(華為技術)や、エリクソンおよびノキアなどの北欧企業が圧倒的強さを見せるが、5G市場の本格的な立ち上がりとともに一気にプレゼンスを拡大、20年にはシェア20%獲得を目指す。
サムスンの5G基地局は既に、韓国の携帯電話最大手SKテレコムや米ベライゾンに採用されているが、最近、20年3月の5G商用サービスを目指すKDDIから受注を獲得した(1日付一部既報)。
KDDIは22年3月末までに全国に1万622局、24年3月末までには計5万3626局の基地局を設置する予定。
サムスンはエリクソンやノキアとともに、主要機器ベンダーの1社に選定され、同社だけで24年までに計20億ドル相当の装置をKDDIに提供する。
サムスンは半導体メモリーの世界最大手として知られるが、浮き沈みの激しいメモリー市況に大きく業績が左右されることから、次の成長エンジンを模索してきた。昨年8月には、AI、バイオ、カーエレクトロニクスとともに5Gを4大未来成長事業とし、計180兆ウォン(約16兆円)を投じる計画を発表した。
KDDIには3Gや4Gでも通信設備を供給してきたが、今回、5G装置のベンダーとして選定されたことを足掛かりにサムスンは日本市場での存在感を拡大。さらに欧州市場進出も加速させると見られている。
米中貿易摩擦の影響でファーウェイ製品に対する規制が強まる中、半導体からスマホ、基地局まで5G製品をトータルで提供できることを強みに、サムスンは5G基地局市場の攻略を図っていく。