NECが武田薬品に無菌操作

トレーニング向けVRソリューション提供

 NECとNECソリューションイノベータは武田薬品工業に、バーチャルリアリティ(VR、仮想現実)を活用した、感染症ワクチンの製造工程における無菌操作トレーニング向けVRソリューションを提供する。NECの「法人VRソリューション」を活用しており、今月から利用を始める予定。

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VRトレーニングイメージ

 ワクチン製造においては様々なテクノロジーが導入され、多くのプロセスの自動化が図られている。しかしながら、人の手作業に頼らざるを得ない繊細かつ慎重さを要するプロセスもいまだ存在する。これらの製造作業ではワクチンに関する知識に加え、正しい無菌操作の習得が必要になるため、人材育成に多くの時間を要する。

 武田薬品では、これらの理由から、ワクチン製造に関わる人材の確保および、育成・トレーニング時間の確保が課題だった。さらに、トレーニングはワクチンの製造場所である無菌室内で行うため、ワクチンの製造中は無菌室をトレーニングに使用できず、ワクチンの製造と人材育成の両立が求められていた。

 同VRトレーニングは、無菌室内の設備である安全キャビネットや細胞培養に使用する細胞培養用フラスコ、電動ピペッターといった専用の器具を用いた無菌操作を仮想空間内に再現。製造時の順守事項を体感学習できる。

 培養細胞や培養液、ボトル・細胞培養用フラスコ・ピペットなど器具と作業者の手の位置・角度・接触などの状態から「(無菌操作に好ましくない)コンタミネーションリスクの高い操作」を抽出し、作業の正確さをチェックする。これらのチェックポイントは、人間工学に基づいた順守事項に抵触する行為を、NECソリューションイノベータが体系化したものだ。

 20種の順守事項に抵触する全260ケースを検出し、コンタミネーションリスクとなる部位や原因の説明、適切な対処方法や回避方法を作業者に提示する。

 VR空間で実環境を再現できることで、製造トレーニングの場所や時間の制約がなくなるだけでなく、指導者がいなくても訓練者自身で無菌操作の作業中の順守事項を確認できる。これまで熟練者が経験に基づいて判断していた部分をVRトレーニングの順守事項に反映させることにより、客観的にトレーニングの効果を測定可能となった。

 さらに、トレーニングに用いる溶液や資材についても、VRトレーニングのため、廃棄量を減らすことができる。