日系電子部品メーカー各社

グローバル物流体制の見直し、中国工場から他国への移管進む

 日系電子部品メーカー各社は、米中貿易摩擦激化に対処するため、グローバル生産体制への変更やサプライチェーンの見直しなどを順次進めている。「米中貿易摩擦激化が自社の事業に大きな影響を与えている」とする企業は現状では少ないが、必要な対応を迅速に進めることで、事業リスクの低減に努めている。

 電波新聞社はこのほど、主要電子部品メーカーを対象に、「米中貿易摩擦の影響や対応策」に関するアンケートを実施した。

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 それによると、「米中貿易摩擦の自社事業への影響の有無」の質問では、回答26社中、最も多かったのは「ある程度影響を受けている」と答えた13社。次いで、「ほとんど影響は受けていないが、今後を懸念している」が10社となった。「大きく影響を受けている」と答えた企業は3社にとどまったが、「まったく影響を受けていない」とした企業は1社も見られなかった。

 米中貿易摩擦による影響の内容については、「中国設備投資の減速によるFA関連部品の受注減少」や「中国経済減速による新車販売減少」「中国スマホ需要鈍化」「先行きの見通し懸念による半導体市場の需要鈍化」などが挙げられている。

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 「米中貿易摩擦激化への対応策として、実施または検討していること」(複数回答)の質問では、回答22社中、過半の12社が、「中国工場から他国への移管」と回答し、「グローバル物流体制の見直し」と答えた企業も10社に達した。「生産性向上によるコスト吸収」とした企業も5社見られた。このほか、一部の部品メーカーでは、「価格転嫁」と回答している。

 一方、「開発機能の中国から他国へのシフト」と答えた企業は1社も見られなかった。有力な完成品メーカーやIT関連メーカー、や完成車メーカーなどが数多く存在し、巨大マーケットを抱える中国での現地開発・設計機能の構築は、引き続き多くの日系電子部品メーカーが重要視している。「中国工場から他国への生産移管」と答えたメーカーに関しても、中国生産から撤退するわけではなく、中国やASEAN、日本、北米などを含めたグローバル多極生産体制の中で、生産体制の最適化を進めるとする企業が多い。