5Gサービス

16の国・地域でスタート

 第5世代移動通信システム「5G」サービスが19年以降、本格的に始まる。既に昨年末までに一部でサービスを開始した米国、韓国に続いて、今年は新たに16の国・地域が5Gの提供を予定している。対応端末の開発も急速に進んでおり、第2四半期以降、革新的な製品が続々登場する見通しだ。

 超高速大容量、低遅延、多数同時接続性を特徴とする5Gは、モバイル機器でのコンシューマ向けサービスのほか自動運転、遠隔医療など様々な分野での利活用が想定される。また工場や農業などの産業分野において、作業効率化を実現するIoTの基盤技術としても期待がかかる。

 昨年10月には、米通信大手のベライゾンが一部市場で5Gを利用した家庭向けFWA(固定無線アクセス)ブロードバンドサービス「5Gホーム」の提供を開始。年末には、韓国の3キャリアが法人向けサービスの提供を始めた。

 携帯電話事業者の業界団体であるGSMAの最新リポートによれば、19年はバーレーンやチェコ共和国、中国など計16の国・地域がサービスを始める予定(図参照)。先行した米国や韓国では、コンシューマ向けてモバイルサービスが本格的にスタート。日本でも主要キャリア3社が夏以降のプレサービス、20年の商用展開に向けて取り組みを加速。

画像1

 当初、5Gで受けられるサービスは高速・大容量通信の特性を生かした映像が中心になる見通しだ。現行4G・LTEの100倍の速度、1千倍の大容量通信を実現する5Gは、2時間の映画全編を約3秒でダウンロードできる。

画像1
「5G is here」をWMCのテーマに掲げる
クアルコムは会期中、パートナー企業と
5Gの到来を祝うイベントを開催した
(写真提供=クアルコム)

画像1
ファーウェイの折り畳みスマホ「Mate X」

 高精細の動画コンテンツ視聴やゲームを楽しむための端末開発も進んでおり、先月、スペイン・バルセロナで開催された世界最大のモバイル関連展示会「MWC2019」でも様々な新製品が展示された。

 中でも注目を集めたのが、中国ファーウェイ(華為技術)の有機ELディスプレイを採用した折り畳みスマホ「Mate X」だ。開くと8インチのタブレットとして利用できる。

 折り畳みスマホは、韓国のサムスン電子が一足早く自社イベントで「ギャラクシー・フォールド」を発表。こちらは広げると7.3インチの端末になる。大画面での動画鑑賞やネットをしながらの文書作成など、これまでにない多彩な使い方ができる新ジャンルの製品投入で、停滞するスマホ市場を再活性化するとともに、来る5G時代の多様なニーズに応える。

 このほかMWCでは、韓国のLGエレクトロニクスが別売りのディスプレイ付きカバーを取り付ければ2画面になる5G対応スマホを披露。ソニーモバイルコミュニケーションズは、アスペクト比が21対9の有機ELディスプレイを搭載した、映画視聴に最適な端末を紹介して話題となった。

 スマホ向け半導体メーカーの動きも活発だ。業界最大手の米クアルコムは、5G用プロセッサ「スナップドラゴン855」を搭載したスマホ開発で30以上の端末メーカーと協業しており、今後1年間で少なくとも20機種以上が市場投入される見通し。

 台湾のメディアテック(聯発科技)も5G対応ベースバンドチップ「Helio M70」を昨年末発表し、MWCで動作検証を実施。中国のスマホベンダーOPPO(欧珀)やVivo(維沃)、RFソリューションのスカイワークス、コルボ、村田製作所と5G RFフロントエンドモジュール開発で提携する方針も明らかにし、5Gの本格展開に意欲を見せた。

 米インテルは既存の5Gモデムチップに加え、19年後半にはマルチモード対応モデムを市場投入の予定。こちらは米アップルが20年以降リリース予定の「iPhone」に採用される見通しだ。