日本民間放送連盟(民放連)ラジオ委員会の開発による、FM放送とインターネットラジオ「radiko(ラジコ)」を切り替えてラジオ番組を聴取できるスマホ「ラジスマ」が先月から販売されている。このほど発売開始記念式典が行われた。日本初のワンタッチによるFM放送とインターネット回線の切り替えが可能となる。
同ラジオ委員会は通信事業者やメーカーなどと協力して、FMチューナを備えた「ハイブリッドラジオ」として開発に取り組んできた。
近年ラジオ放送を取り巻く環境が厳しくなり、特にスマホの普及などでラジオ局にとっては、その存在が埋没の危機をもたらしてきた。
このような激動のラジオ業界で、10年に配信開始したIPサイマルラジオサービスのラジコがラジオの聴き方を変えた。
現在、ラジコはダウンロード数が3千万以上で、1日当たりのユニークユーザー数が120万を超えるアプリ。このアプリをベースに放送と通信を連携でき、今後の展開が期待される。
民放連ラジオ委員会の岩崎正幸委員長(ニッポン放送社長)は式典で「スマホの急激な普及でメディア環境が多様化している中、ラジスマの実現により新しいツールを手に入れることができた。ラジスマの普及はすなわちラジオの普及であり、ラジオ局にとって千載一遇のチャンスだと考えている」と期待を述べた。
ラジスマには「radiko+FM」のアプリがプリインストールされている。一つのアプリでラジコとFM放送を聴ける。同アプリでラジオ局を選ぶと、FMチューナのオン/オフができるスイッチが画面上に表示。このスイッチを切り替えることで、ラジオ番組を放送波で聴くかラジコで聴くかを選択できる。
また、受信環境に合わせてFM放送とラジコを切り替えて聴くことができ、FM放送とラジコのどちらで聴いても番組情報や楽曲情報などを画面で確認できる。災害時などに通信が途絶えた場合でも、FM放送の受信が可能となる。
さらに、ワイドFMにも対応して難聴・災害対策として活用できる。インターネットラジオの受信に比べて省電力のため、バッテリをより長時間駆動できるというメリットもある。
ラジスマの第1号として、NTTドコモが2月15日に「らくらくスマートフォン me(F−01L)」(富士通コネクテッドテクノロジーズ製)、KDDIが同8日に「URBANO V04」(京セラ製)の2機種を発売している。
同ラジオ委員会は4月26日までラジスマの普及キャンペーンを実施し、民放ラジオ全社のラジオ番組でほぼ毎日パーソナリティ・ナビゲータがPRしてラジスマの魅力を伝えていく。