経済産業省は、イスラエル経済産業省とのデジタルヘルス分野における協力覚書に署名した。デジタルヘルス分野で、イスラエルのスタートアップとの連携や医療機関などでの概念実証に関心を持つ日本企業向けのワンストップ窓口がJETROに設置される。今後、ヘルスケアビジネス環境やデジタルヘルス関連企業へのサポート施策などについてのイベントが開催される予定。
経済産業省は、誰もが人生を幸せに生ききることができる「生涯現役社会」の実現を目指しており、そのためには、「未来投資戦略2018」において重点分野に特定されている「次世代ヘルスケア・システムの構築」や「健康寿命の延伸」が欠かせない。
医療機器産業はこれらに大きく貢献し、わが国の成長の原動力となる重要な産業であるとともに、グローバル経済においても40兆円を超えるなど、産業としても大規模かつ成長している領域。
医療機器産業を取り巻く環境は、世界に先駆けた高齢化の進展などによって著しく変化しており、従来の「治療型」に加え、「予防・抑制進行型」「介護」などの新たな領域で医療機器やサービスのイノベーションが起きている。また、ロボット技術やAI、IoTといった異分野からの技術革新や、異業種、ベンチャーなどの新規プレーヤの参入も加速している。
こうした動きを受け、経済産業省は、厚生労働省、文部科学省と連携して、日本医療研究開発機構(AMED)を通じた革新的な医療機器の研究開発支援を推進。
さらに、グローバルなエコシステムとの接続や、世界で戦って勝てるベンチャーを「特待生」として認定し、集中的に支援するJ−Startupを活用したベンチャーなど新たなプレーヤの巻き込み、サービスと一体化した医療機器の国際展開を進めている。
一方、イスラエルでは、スタートアップを中心に多くのライフサイエンス系企業、医療機器・ヘルスケアIT等の企業が存在する。政府としてもNational Digital Health Plan≠策定するなど、サイバーセキュリティに続き「デジタルヘルス」を国家戦略の中核に掲げ、テクノロジー開発、データ研究などを推進している。
過去20年以上の患者データがデジタルで蓄積されていることに加え、豊富なIT人材や、医療機関や大学等も含めたエコシステムが存在するなど、非常に優れた環境にある。
協力覚書には、デジタルヘルス分野におけるワンストップ窓口を設置し、規制情報を含むビジネス環境や支援策の情報提供や、セミナーなどのイベントの開催を、厚生労働省およびイスラエル保健省の協力を得て実施することなどが盛り込まれた。
デジタルヘルス分野における日本側のワンストップ窓口は、JETROに設置される予定。ワンストップ窓口では、イスラエルのスタートアップ企業との連携や、イスラエルの医療機関などでの概念実証に関心を持つ日本企業に対して、情報提供およびイスラエル関連団体の紹介などを行うことが想定されている。