エヌビディア、インテル、グーグル、アップルなどが競ってAIチップの開発に取り組む。その背景には自動運転、ロボティクス、医療などへのIoTの広がりや5G時代を迎えて増大するデータ処理に、現行のコンピュータシステムでの対応が難しくなっていることがある。これに代わる新たなシステム向けにAIチップの需要が拡大、加速している。
エヌビディアがデータセンター向けに製品化した「NVIDIA Tesla V100」はAI、HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)で、グラフィックス処理を高速化するGPU。NVIDIA Volta アーキテクチャにより、1基で最大100CPU分の役割を担う。
NVIDIA GPUでは何百ものTensorコアが並行演算を実行するため、スループットと効率が大幅に向上する。次世代のディープラーニングを視野に入れたものと注目される。
インテルは、FPGAにワンチップ化することでボード面積、部品点数、コストの削減性向上を実現する「Stratix 10FPGA&SoC」を提案した。14ナノbプロセスで従来品に比べて2倍のコア性能、最大70%の電力を削減する。ASICと異なりユーザー側でICロジックを変えることができ、低消費電力などを訴求。通信基地局、データセンター、放送機器、車載などへの普及を目指す。
グーグルは、TPU(Tensor Processing Unit)というAIチップを開発。「アルファ碁」の学習処理に用いることで人間に勝利した。同時に省電力、学習スピードの速さや正確さをアピール。IoTのエッジデバイス向けにも提供している。
アップルは、スマホなどでの顔、音声認識用にAIチップエンジンを開発。バッテリ寿命の延長、高性能化も目指す。スマホ以外の車載、ウエアラブルメガネなどにも組み込むことを検討する。