日本電気硝子

結晶化ガラスを正極材に用いた全固体ナトリウムイオン二次電池の室温駆動に成功

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[出所:日本電気硝子]

 日本電気硝子は結晶化ガラスを正極材に用いた全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池を試作し、室温駆動に成功した。

 結晶化ガラスを正極材に用いた成功例としては世界初。14日から福岡国際会議場で開催される「第58回電池討論会」で今回の開発成果を発表する。特殊ガラスメーカーの強みを生かし、正極材にNa系結晶ガラスを採用した全固体Naイオン二次電池を試作。室温での駆動に成功した。電池材料を全て無機酸化物で構成でき、使用および製造時の発火や有毒物質発生の懸念をなくした。

 電池性能はガラスの難化流動性を活用して固体電解質との一体化を図り、イオン伝導性を高めた。これにより室温駆動を可能にした。固体電解質はイオン移動による劣化が小さく長寿命。シンプルな構造で高電位系活物質の開発により、高エネルギー密度の電池作製が期待できるとみている。資源量の豊富なNaを用いるため、リチウム(Li)と比べ供給不安がない点も製品としては有利と判断している。

全固体ナトリウムイオン二次電池と点灯例
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[出所:日本電気硝子]
 高性能二次電池の主流である有機系電解液を用いたLiイオン二次電池は異常発熱による発火事例が報告され、安全性の課題を持つ。このため、電解質に可燃物を使用しない全固体Liイオン二次電池を各社が研究開発しているが、電極と電解質間のイオン伝導性や大気中での安定性などが課題となり、実用化に至っていない。希少金属のリチウム材料を用い、原料供給の不安定性も懸念材料として挙げられている。日本電気硝子はLiイオン二次電池のこれらの課題を解決する二次電池として、Na系結晶化ガラスを正極材に用いた全固体Naイオン二次電池の研究開発に取り組んできた。