エヌビディア
完全自動運転車の実現へ。「レベル5」開発向けAIコンピューター発表
エヌビディアの「DRIVE PX Pegasus」
[引用元: NVIDIA]
米エヌビディアは10日、独ミュンヘンで開催中(─12日)の技術者向け会議で「レベル5」の完全自動運転車を開発するためのAIコンピューティング・プラットフォーム「ドライブPX Pegasus(ペガサス)」を発表した。前世代「ドライブPX2」に比べ性能が10倍以上向上しており、1秒間に320兆回の演算処理能力を提供。18年後半にパートナー向けに提供を開始する。
ドライブPXは、エヌビディア独自のGPU(画像処理装置)とSoC(システムオンチップ)を搭載した車載用AIコンピュータで、自動運転車の頭脳の役割を担う。
15年に初代製品が、16年にPX2がリリースされ、現在世界中の225の企業が同プラットフォームを使って自動運転車を開発中。このうち25社は完全自律型の「ロボタクシー」を開発しているという。
最新SoC2基搭載
新技術ペガサスは、ステアリングやアクセルペダルなどがない、完全ドライバーレスの自動運転車開発向けに設計。VoltaアーキテクチャベースのGPUを組み込んだ最新の「Xavier(エグゼビア)」SoC2基と、次世代GPU2基を搭載するほか、深層学習やコンピュータビジョンアルゴリズムを加速させるためのハードウエアを統合。
ナンバープレート大のコンピュータで、完全自動運転に必要な強力な処理能力を低消費電力、低コストで提供する。
安全規格最高レベル
自動車の機能安全性規格の最高レベル「ASIL D」に対応し、カメラやレーダー、ライダー、赤外線など16の高速センサー入力、CAN、Flexray、10Gビット イーサネット接続をサポート。システム全体のメモリー帯域幅は1テラバイト /秒に達する。
自動運転では高解像度360度カメラや各種センサーから得られる膨大な量のデータをリアルタイム処理し、高精度で車両の位置を特定・追跡、目的地までの安全で快適な経路を導き出す必要がある。これには現在最も先進の自動車の50―100倍の演算能力が必要とエヌビディアは説明する。
同社は今回、郵便・物流大手のドイツポストDHLが自動車部品大手の独ZFと提携し、18年から配送車の自動運転試験を実施する計画も発表した。ZFはエヌビディアのドライブPXをベースに、自動運転システム「ProAI」を開発している。