透明なプロジェクション型ホログラフィック3D映像
NICTが技術開発
今回開発したホログラフィック3D映像技術。
透明な光学スクリーンに投影されたホログラム映像
情報通信研究機構(NICT)の電磁波研究所電磁波応用総合研究室は、独自に開発したホログラムプリンタによって作製した特殊な光学スクリーンと、今回新たに開発したホログラム映像を投影する技術を組み合わせ、透明なスクリーンにホログラム映像が浮かぶプロジェクション型ホログラフィック3次元(3D)映像技術を開発した。
近年、3Dプリンタや3Dスキャン技術の台頭を受けて、立体映像表示を可能とする3Dディスプレイの需要が高まっている。
電子ホログラフィ(注)と呼ばれるこれまでのホログラフィック3Dディスプレイは、空間的・時間的に光の振幅や位相を変調する空間光変調器(SLM)の解像度不足から、実用的な画面面積と視野角を両立することが困難だった。また、ディスプレイ後方に大がかりな光学系の装置が必要で、これらが実用化に対する大きな障壁となっていた。
今回開発した技術は、SLMの解像度に依存せず、特定の観察位置に対して画面面積と視野角を自在に設計でき、ホログラム映像を透明なスクリーン上で見ることができる。車載ヘッドアップディスプレイやスマートグラスのホログラム映像化、デジタル3Dサイネージの実現といった実用的な応用が期待できる。
今後は、ディスプレイのフルカラー化を進めるとともに、実用化を目指したシステムの簡素化、複数の観測者に映像を提示できるシステムの検討や、観測位置を自由に走査できるシステムの開発などを進める。
同研究の一部は、JSPS科研費の助成と総務省SCOPE、文部科学省COISTREAMの委託を受けた。
▽電子ホログラフィ
光の干渉を利用して物体光を干渉縞として記録し、回折を利用して記録された物体光を再生する技術がホログラフィ。この媒体に空間光変調器を使い、干渉縞を電子的に表示し再生する技術を電子ホログラフィという。