伸縮する電線 ウエアラブルに最適
旭化成、CEATECで紹介
旭化成のCEATEC JAPANブースと巽室長
ずれない、緩まないケーブル(右)
旭化成は7日まで開催されたCEATEC JAPAN2016で、同社が世界に先駆けて開発した伸縮する電線「ロボ電(ROBODEN)」を紹介した。
ロボ電は同社が多関節ロボット、アシストスーツ、ウエアラブルなどの用途に最適な電線として事業拡大を推進しているもので、独自の繊維技術を駆使して開発した。狭い空間で動作の激しい機器などに、たるむことなくストレート形状を維持したまま電力の供給と制御信号の送信を同時に行うことができる伸縮する電線だ。
仕組みは、伸縮性に優れた同社のポリウレタン弾性繊維の芯材に金属である銅(Cu)の導体線を独自技術で編加工したもの。最高で1.5倍(常用上限1.4倍)の伸度を持ち、屈曲させても導体線はずれることなく隣り合う線との平行度を保つことができる。そのためインピーダンス(抵抗値)は安定しているという。R=10(径2センチメートル相当)の屈曲試験で300万回以上の耐久性を持つことを示した。
今回の展示目的について、同社繊維事業本部ロボ電事業推進室の巽俊二室長は「従来のロボット向けだけではなく、IoT分野で、よりユーザーに近い情報通信機器市場も開拓したい。ポータブル機器の省収納スペース化やヘッドホン用ケーブル、人間の動きに合わせた配線が求められるウエアラブルなどを想定。その使用例を紹介する」と語った。
展示では、携帯用電源ケーブルの収納性の比較デモを始め、ウエアラブルスーツへ実装した人体モデル、激しい運動でもずれたり、緩みがないヘッドホンケーブルの使用例などを紹介した。
また、大容量データ送信用HDMI(エイチディーエムアイ)という接続規格に準拠したケーブルも開発中。
これらの「ロボ電」は愛三電機を通して購入できる。