折りたためるハイバリアフィルム

東レ、有機EL向けなどに

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 東レは、有機EL向けなどに、折り畳めるフレキシブルなハイバリアフィルムを開発した。独自のバリア膜形成技術により、同社現行品と同等の水蒸気バリア性を持ち、耐屈曲性・半径1ミリメートルのフレキシブル性がある。

 有機ELディスプレイフィルム型センサー、電子ペーパーラベルなど、耐湿性と耐屈曲性が求められる分野に、10月からサンプル提供を開始する。

 ハイバリアフィルムは、フィルム基板上に水蒸気や空気の透過を防ぐ機能を持つ特殊なバリア膜を形成させたもの。有機太陽電池の発電層や有機ELディスプレイの発光層などの水による劣化や腐食を防止などに使用される。従来、金属のアルミ箔やガラスが使用されていた分野を置き換える可能性がある。

 市場規模は、調査会社によると現在は世界で数億円程度であるが、フレキシブルデバイスなどが立ち上がれば200億―300億円になると見込まれている。

 同社はハイバリアフィルム「バリアトップ04」を上市。高いバリア性能を持ち、曲げた時に割れにくいという特徴から、曲げたり、曲面に沿わせたりする必要がある用途への採用が進んでいる。

 最近は、折り畳みや巻き取りが可能なタイプのスマホやタブレット端末などの電子デバイス、人体や衣服に密着させることが可能なウエアラブルセンサーなどの開発が進んでいる。これらの用途にはバリア性能に加え、さらなる耐屈曲性を求められている。

 同社は屈曲半径を小さくするため、バリア膜を薄くすることの効果に着目。また、柔軟性に優れた材料の開発とバリア膜の緻密化を進めることにより、水蒸気透過率は同社現行品と同等レベルを達成した。

 バリア膜厚は従来の数マイクロメートルから50ナノメートルと大幅に薄くし、屈曲半径1ミリメートルでも高い性能を持つハイバリアフィルムを得ることができた。バリア性能は1日当たり1平方メートル面積の水分透過率で−4 10グラム台。この数値は、同社のR=1―5ミリメートル屈曲試験で、1万回以上でも変わらない結果を得た。

 膜厚を薄くすると反り(カール)が発生しやすくなるが、独自の技術によって反りをほぼゼロに抑えることもできた。

 同社フィルム研究所の高橋弘造所長は「ポリエステルフィルム、耐熱性の優れたPPSフィルム、寸法安定性の優れたアラミドフィルムなど、当社グループの高機能基材との組み合わせでさらに新しい機能を開拓し、有機ELなどのフレキシブルデバイス、リチウムイオン電池、医薬、特殊電子部品などの外装・パッケージ材料へ展開する」と語った。