新エネルギー関連部品・デバイス 活発な技術・製品開発
太陽光発電や産業用インバータ、蓄電システム向けなど
電子デバイスメーカー各社は、エネルギーを自動車、産業機器、医療・ヘルスケア、IoT、ロボットとともに次の成長分野にあげている。
太陽光発電に代表される再生可能エネルギーにおいては、これまで再生可能エネルギー市場をけん引してきた太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)のFIT価格下落で日本、欧州は厳しい市況下にあるが、同制度を開始したタイをはじめとするASEAN地域や、再生可能エネルギー導入投資税控除の5年間延長を決めた米国は逆に市場拡大が期待されている。
これらの市場変化を踏まえ田淵電機は出力制御のほか、可変力率制御、波形整形などの機能を搭載した太陽光発電用パワーコンディショナを17年半ばまでに開発、商品化する予定だ。
1kWミニインバータ(村田製作所)
村田製作所は太陽光発電向けで一般的に使用されているストリングインバータ(パワコン)に比べ小型、長寿命、高発電量などの特徴があり、施工やメンテナンスが容易で、システム全体のコスト削減が可能な定格電力1kWニインバータを開発した。独自の高効率マルチレベル回路技術を用い、小型、薄型、軽量のコンパクトな外形(開発品は450×160×50ミリメートル)を実現した。
ロームはソーラーインバータやFAインバータ、蓄電システムなどの高電圧、大電力を扱う産業機器インバータ向けに絶縁型フライバックDC/DCコンバータ制御ICを開発、10月から量産を開始する。
フォトカプラを不要にし、抵抗1本で絶縁電源を安定可能
ロームの絶縁型フライバックDC/DCコンバータ制御IC
インバータ内のフライバック方式絶縁型DC/DCコンバータに必要だったフォトカプラを不要にし、同DC/DCコンバータの部品点数を半減した。
蓄電ニーズ高まる
一方、IoT社会と電力多様化時代の到来に伴い、再生可能エネルギーの利用が増加し、蓄電ニーズが高まる。業界予測では2015年3200億円だったグローバル蓄電市場は16年4000億円、17年5200億円、18年には6200億円規模に拡大。その成長のほとんどがリチウムイオン電池市場の拡大によるものだとみている。
社会のIoT化で基地局の通信手段バックアップ用途、データセンターのデータバックアップ用途が広がる。
このため、リチウムイオン電池メーカー各社はリチウムイオン電池セルの長寿命化や蓄電モジュールプラス制御ボックス一体型の高容量蓄電モジュールの開発を加速。既にパナソニックでは高温化での寿命を約70%アップさせたリチウムイオン電池セルを開発。スペースを従来比20%削減、駆動時間10%アップした高容量タイプの蓄電モジュールを製品化し、基地局などに納入を始めている。
家庭用ハイブリッド蓄電システム(ニチコン)
電子部品メーカーでもニチコンが直流で発電した太陽光発電の電力をDC/DCコンバータで安定した直流にし、さらにDC/DCコンバータで蓄電池に適した直流に変換してリチウムイオン電池に直流で蓄える家庭用ハイブリッド蓄電システムを開発、受注を開始した。
ラピスセミコンダクタは業界最大の14直列セル、最大動作電圧80V対応のリチウムイオン電池二次保護LSIを開発、9月から量産を開始した。これまで数個の二次保護LSIとOR処理回路を今回の二次保護LSI1個に置き換えることができる。
また、IoT社会の実現に向けて近年、普及が期待されているエネルギーハーベストを電源とするワイヤレスセンサーネットワークのセンサーノードでは、小型、大容量、長寿命のエネルギーデバイスの開発、製品化が進む。
7月には村田製作所がラミネートタイプの小型エネルギーデバイスの量産に入った。
12ミリAhの大容量、200ミリΩの低内部抵抗、5000サイクルで充電容量回復率90%以上の長寿命、10C(120ミリA)の高レートでの連続放電を21.0×14.0×2.0ミリメートルのラミネートタイプで実現した。