新しい仮想人体筋骨格モデル
NICTが開発成功
情報通信研究機構(NICT)は脳情報通信融合研究センター(CiNet)において、筋肉のボリューム(大きさ・形状)と干渉(ぶつかり合い)による変形を考慮した、PCで動く新しい仮想人体筋骨格モデル「Def Muscle(デフ マッスル)」を開発した。
同技術によって、従来モデルでは表現し切れなかった肩・体幹などの複雑な筋肉の位置関係および筋力の作用ベクトルを表現できるようになり、運動神経科学やリハビリ・スポーツなどのバイオメカニクス関連分野における運動解析の精度が向上する。これまで重要とされながらも手に負えなかった肩こりやスポーツ肩障害の予防研究への応用が期待できる。
今回PCに搭載可能なGPUを用いて開発された筋骨格モデルの計算基盤は、運動解析や運動シミュレーション、ビジュアライゼーションなどで利活用できるプログラミングソフトウエアとして技術移転先企業から販売される予定。
同研究成果の一部は、JSPS科研費の助成を受けた。
今後は研究の成果を活用し、脳が膨大な数の筋肉を制御する仕組みを明らかにする研究を効果的に進め、将来的には体幹や下肢にまで部位を拡張し、近年ニーズの高まっているロコモティブシンドローム対策の研究などに応用していく予定。
リハビリやスポーツへ応用する際には、各個人のモデルを作成することが必要となるので、断面画像などを利用して個人モデルを作成する技術の開発も視野に入れていく。
筋骨格モデルに関する知的財産権はスリーディーにライセンスされ、同社から16年中にプログラミングソフトウエアとして販売される予定。肩周辺筋群の形状サンプルは無償で公開し、部位が拡張された際には随時公開していく。