抵抗器各社 耐硫化チップを拡充

車載用 長期信頼性を確保

 抵抗器メーカーが耐硫化チップ抵抗器の事業拡大に取り組んでいる。チップ抵抗器は硫化ガス濃度が高い環境下で使用された場合、内部電極の硫化による断線という現象が確認されている。大気汚染が問題となっている地域では大気中の硫化ガス濃度が増加傾向にあり、自動車が使用される環境も厳しくなってきた。そのため、各社では車載用として耐硫化チップの新製品開発を加速。提案活動を活発化している。

 空気中に硫黄成分

 自動車の排気ガスや硫黄ガスなど、空気中には様々な形で硫黄成分が存在している。このような硫黄成分は金属表面に吸着し、少しずつ硫化を引き起こす。車載用チップ抵抗器では、長期信頼性の確保が求められており、最近では耐硫化チップの需要が伸びている。

 抵抗器各社ではほぼ例外なく耐硫化チップの品ぞろえを拡充している。

画像1
自動車で需要が伸びている耐硫化
チップ抵抗器              
 KOAはこれまで汎用チップ、精密級、長辺電極、耐パルス、ジャンパ、サージチップ、チップネットワークの耐硫化タイプを開発、供給してきた。新たに低抵抗「SR73−RT」をラインアップ。これによって、耐硫化抵抗器ラインアップの低抵抗値範囲を拡大。内部電極に極めて耐硫化性の高い材料を使用しているため硫化断線がなく、高信頼、高性能で電源、モーターなどの電流検出に適している。

 ロームは硫化に対しても長期信頼性が求められていることを背景に、独自構造の採用により大幅に耐硫化性能を向上した耐硫化チップ抵抗器「SFRシリーズ」を開発した。同シリーズは、第1世代の耐硫化品で採用した上面電極保護層に加え、側面電極にNi−Cr系スパッタ膜を採用することで、耐硫化性能の大幅な向上に成功。車載や産業機器など硫化環境下で使用されるアプリケーションの長期信頼性や、安全性の向上に貢献する。

 北陸電気工業は耐硫化チップ抵抗器として「CRS」を販売。特殊な保護材料を使用することで耐硫化特性を向上。1005―5025サイズとサイズが多く、しかもネットワークタイプもそろえている。

 釜屋電機は特殊内部電極により、高い耐硫化性能を有する耐硫化チップ抵抗器「RMGW」に5025サイズを追加。内部電極にバリア層を設け、内部電極の耐硫化を抑制している。

 太陽社電気も耐硫化チップ抵抗器として、汎用タイプから耐サージ、低抵抗、精密級、多連チップなど、多くの品種をそろえている。