プリント配線板 成長分野の新製品、技術開発に弾み

車載用ミリ波レーダーやスマホ用部品内蔵型、産機用大電流対応品など

 プリント配線板は、成長分野における新製品、新技術の開発に弾みがついている。自動車では、先進運転支援システム(ADAS)といった最先端技術領域におけるミリ波レーダ基板やカメラモジュール基板などの開発が活発化。スマホや高機能モジュール分野では部品内蔵基板を含めた高密度化技術が進展。産業機器向けは大電流対応、高耐熱などの高信頼性基板の開発が活発化してきた。

1、車載用プリント配線板

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車載用プリント配線板は高信頼性が求められる
 自動車分野は、パワートレイン系、車両制御系、ボディ系、情報通信系など、具体的なアプリケーションごとに技術ニーズが異なり、それぞれに最適に設計されたプリント配線板が供給される。中でも最近注目されているADASに絡んだミリ波レーダーユニットやカメラモジュール向けの開発が活発化している。

 ミリ波レーダーユニットは、アンテナと半導体チップなどを搭載した制御回路で構成。これまで2つの基板を必要としていた。セラミック基板が主体に用いられてきた。

 最近のプリント配線板メーカーが開発しているのは、ユニットの小型化や低コスト化などの視点から複合多層プリント配線板。高周波特性が求められるアンテナ用基板に高周波特性に優れた材料を用い、半導体チップなどを実装する制御部に、FR―4などの汎用的な高密度実装用基板材料を使用するもの。

 ADASを構成する上で重要な車載カメラ用モジュール基板は、狭くて複雑な場所への設置を考慮。小型化が要求されている。リジッド基板ではビルドアップ工法が用いられ、薄型化にも対応する。3D設置を可能にするリジッド・フレックス配線板を用いるケースもある。

 車載ECUは、搭載環境が室内からエンジンルーム、さらにはエンジン直搭載へと変化することで、耐熱性に優れたプリント配線板が要求される。小型化の要求から、パターンスペックはこれまでのL/S=130μm/170μmから、同100μm/100μm、さらには同75μm/75μmへと微細化が進展すると思われる。

2、スマホ/モジュール用基板

 スマホやモジュール用基板は、ビルドアップ技術の高度化で微細パターン化、薄型化が進んでいる。ビルドアップ多層板はコア層の両面に配線する層を積み重ねる工法が一般的だが、最近では、全層レーザービアおよびフィールドめっきによる信頼性の高いエニーレイヤー基板がスマホなどで採用されている。

 一般的なビルドアップ多層板は、ベースになるコア層の上下に絶縁層を積み上げる工法。コア層にはドリルによってスルーホールが開けられ、銅によるスルーホールめっきが施される。

 エニーレイヤーはドリルでスルーホールを形成するコア層を必要とせず、レーザーを用いて小径のビアホールだけで各層間を接続する。

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スマホで需要が伸びるエニーレイヤー
ビルドアップ基板の断面図       
 従来のスルーホールのコストを削減、同時にビルドアップ多層板の薄板化を可能にする。  エニーレイヤーのビルドアップ多層板は、ハイエンドスマホや高機能モジュールなどで採用が広がってきた。

 L(ライン)/S(スペース)は50μm/50μm以下の微細化技術を適用。レーザービアのビア径は75μm以下に小径化。しかも基板厚みは、6層で0.3ミリメートル厚内外を実現している。

 モジュールの小型、高機能化には、部品内蔵基板技術が採用されるようになってきた。部品内蔵基板は、基板内に受動部品やICを内蔵し、その上部全面に配線層が設けられ、様々なデバイスを3次元実装するもの。

3、産業用プリント配線板

 産業機器分野では、太陽光発電向けなどの大電流対応の厚銅プリント配線板が使用されている。太陽光発電は、ソーラーによって発電された直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナが用いられる。そのため、プリント配線板は、大電流を扱うことができるプリント配線板が要求されている。

 一般的なプリント配線板の回路厚みが35μm内外であるのに対して、100―500μmという銅厚の回路を形成することで大電流への対応を可能にしたものが厚銅基板。

 大電流や高電圧などの電気的な負担が大きい回路で、縦方向に厚みを持たせ、回路幅を狭くでき、電子機器の小型化にも効果を発揮する。