新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はコンピュータなどを活用し、機能性材料の試作回数や開発期間を20分の1に短縮させる共通基盤技術の開発に着手する。
同プロジェクトでは18年までに有機系の機能性材料を中心に、構造や組成から材料の機能を推測する革新的なマルチスケールシミュレーション手法を開発。21年までには人工知能(AI)などを活用して、求める機能を実現する最適な構造や組成を導き出す新しい材料探索手法の確立を目指す。
事業総額は100億円を予定。期間は16─21年度。委託予定先は産業技術総合研究所、コニカミノルタ、東ソー、村田製作所、パナソニック、新日鉄住金化学、日立化成、DIC、東レ、カネカ、積水化成品工業、出光興産、JSR、昭和電工、日本触媒、横浜ゴム、宇部興産など。
日本が強いとされる材料分野での競争力を今後も維持・強化していくためには、新しい機能性材料を創出し続けていくことが必要とし、これまでの材料開発では、技術者が「経験と勘」に基づく仮説を立て、実験による検証を繰り返すことで最適な構造や組成を求めてきた。しかし、この方法では製品化までに非常に長い時間とコストがかかるため、試作回数や開発期間の大幅短縮を目的に、従来型の実験的手法にコンピュータを活用した計算科学を融合させた革新的な材料開発手法を構築する。
手法として、マルチスケールに応じた計算科学、大量のデータから法則性を見いだす人工知能(AI)など、仮説と実証を効率良く行うためのプロセス技術・計測評価技術、これらを統合することで従来の材料開発と比較して、試作回数や開発期間を20分の1に短縮する基盤技術を構築する。