ロボットの分類は、工場の製造工程で使用される産業用ロボットと、サービス分野などで使用される非産業用ロボット(サービスロボット)に大別される。産業用ロボットでは、多関節ロボットやパラレルリンクロボットなどが様々な製造現場で導入されている。非産業用ロボットは介護・福祉ロボットや災害対策用レスキューロボット、アシストロボット、警備・監視用ロボット、エンターテインメントロボットなどがある。
ロボット市場は、工場自動化ニーズの高まりや、安全で快適な社会の実現に向け、中長期で高い成長が見込まれている。経済産業省によると、ロボット産業の国内市場規模は、12年の約8600億円から2035年には10倍以上の9兆7000億円への拡大が見込まれる。現在は全体の5割以上を産業用ロボットが占めるが、今後はサービスロボットの伸びが高まると予測されている。
ロボットに搭載される部品には、サーボモーターやセンサー、アクチュエータ、光学部品、無線通信モジュール、タッチ操作系デバイス、音声認識デバイス、電源、受動部品、接続部品などがある。電子部品各社は、ロボットの高性能化や高精度化、安全性向上などに寄与する技術開発を加速させている。
ロボットには様々なセンサーが搭載される。主なセンサーには、荷重検知用の圧力センサーや間接角度検出用のポジションセンサー、姿勢制御用のジャイロセンサー、加速度センサー、タッチセンサー、CCDセンサーなどがある。介護・福祉用ロボットでは離床センサーなども使用される。これらのセンサーは、機器の高性能化に伴い、一層の高精度化や小型軽量化、耐振動性などが求められている。
このため、センサーメーカーでは、MEMS技術とパッケージング技術などを駆使することで、汎用性に優れた高精度なロボット用センサーの開発を強化している。
ロボットでは、高精度で信頼性の高い制御技術が要求される。このため、制御回路基板に使用されるコンデンサや抵抗器、インダクタなどの受動部品にも高度な技術が求められている。
ロボットに効率よく制御回路を組み込むため回路基板の小型化が要求され、高密度実装を実現するための受動部品の小型・高性能化やモジュール化が重要視される。誤動作の防止へ、ノイズ対策部品や過電流・過電圧の保護デバイスも重要。ロボットの電源まわりでは、小型・低損失の高効率電源変換インダクタなどの技術開発も活発化している。
接続部品では、ロボットなどの産業機器向けに、丸型防水コネクタなどの製品ラインアップ拡充に力が注がれる。優れた防水性に加え、耐振動・衝撃への対応や、長期使用に耐える高信頼性などが重視される。同時に、モノづくり分野でのロボット組立てへのニーズの高まりに対応し、産業用ロボットでの自動実装に対応できるコネクタの開発にも力が注がれている。
ロボット組立てへの対応では、ロボットによるFPC挿入工程に対応したFPC接続用コネクタなどが開発されている。産業用ロボットでの自動実装に対応できる基板対基板用フローティングコネクタなどの開発も進められている。
ドローン(無人航空機)は、新たな電子部品需要を創出する有望分野の一つとして重要視されている。
商業用無人機の用途別では、農薬散布用無人ヘリコプターなどの活用に加え、今後は宅配業務や災害対策、設備保全、資材管理、セキュリティなどの用途への広がりが期待されている。特に、災害時の迅速な情報収集や、危険箇所での設備メンテナンスや測量、医薬品の緊急輸送、エンターテインメントとしての仮想訪問体験などの利用が考えられている。
無人機開発では、無線技術やカメラ技術、センサー、電池など高度なエレクトロニクス技術が要求される。このため、電子部品各社は、無線通信モジュールやカメラ系デバイス、センサーなどのドローン市場への展開を強化している。特にセンサーは、ジャイロセンサーや離着陸の補助用の高度気圧センサーなど多彩な製品が必要とされるため、部品各社のドローンに照準を合わせた新製品開発が活発となっている。