電源は小型、軽量、高効率化、高周波化、低待機電力化の推進をはじめ、RoHS規制、REACH規制への対応も要求されている。そのため、産業用インバータやxEVなどの自動車用パワートレイン、サーバー、通信インフラ向けのスイッチング電源、スマホなどのモバイル機器に搭載される超小型DC―DCコンバータなどに使用される電源用部品の動向が重要性を高めている。
電源用部品は、コンデンサ、インダクタやトランス、抵抗器のいずれも新製品が相次いで開発されている。コンデンサについては、日本ケミコンは、アルミ電解コンデンサとして、定格電圧650Vまで対応するねじ端子形「RHAシリーズ」のほか、定格電圧700V品「RHBシリーズ」、基板自立形では生活家電に最適な高リプル品に、長寿命品「RLBシリーズ」や高耐熱品「KLAシリーズ」を開発。
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサでは、樹脂モールド構造の低背品「PMAシリーズ」に高さ3ミリ品を追加。ハイブリッドコンデンサでは、チップ形、リード形に高耐湿品、高耐電圧品、高耐熱品、小型大容量品など新製品を多数揃えた。
ニチコンは、インバータ回路、スイッチング電源回路などの各種産業機器用を主用途とする基板自立形105℃2000時間保証 超小型化品アルミ電解コンデンサ「LGMシリーズ」や、基板自立形105℃保証 小型化品アルミ電解コンデンサ「LGNシリーズ」に600V定格を追加した。
ルビコンは、巻回形導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ「PZ−CAP」として、従来の4シリーズにハイブリッドタイプを4シリーズ追加した計8シリーズをラインアップ。アルミ電解コンデンサでは、小型化新商品「ZLQ」 シリーズを開発。従来品に比べ、同一サイズ比較で約20%の低インピーダンス化、許容リプル電流は約15%アップを実現している。
パワーインダクタやトランス関連の小型化技術も進展している。
スミダコーポレーションやNECトーキンは、メタル系、フェライト系で150℃対応のパワーインダクタを開発し、車載ECU向けに提案。このほか、スミダコーポレーションは、ネットワーク用絶縁トランス「HIT―100」、絶縁トランス「SMシリーズ」、2KVAマルチ出力アイソレーショントランス、スイッチング電源用トランスなどの医療機器向けを商品化している。
NECトーキンは、ナノ結晶軟磁性金属材料「ナノメット」、金属系複合磁性材料「センフォーリッジ」を開発し、パワーデバイスへの応用に関する開発に取り組んでいる。
FDKは、電源トランスの小型化、高性能化に対応して、新たに業界最高水準の低コア損失を実現したMn(マンガン)―Zn(亜鉛)系フェライトの新材質「6H60T」を開発。また、同材質を使用した業界標準コア形状を提案している。
抵抗器は、電流検出用のシャント抵抗器がスマホ向けの超小型チップから自動車用の大電流対応まで品揃えが充実してきた。
KOAは、シャントと呼ばれる金属板を使用した電流検出用低抵抗値抵抗器の新製品開発を加速。抵抗値100μΩ、200μΩの大電流パワーシャント、バスバーとシャントを一体化し、ユーザーの部品点数や工数削減に貢献するシャント オン バスバー、シャントによる高精度電流検出を生かしつつ、ユーザーが取り扱いやすい信号を出力する回路を含めたシャントモジュールなどを自動車分野などに提案している。