積層セラミックコンデンサ(MLCC)の新製品開発が活発化している。成長分野での事業拡大が狙い。自動車向けの高温対応、高耐電圧化、スマホやウエアラブルなどの小型モバイル分野における超薄型化の技術が高度化してきた。
村田製作所は自動車のエンジンルーム周辺など過酷な温度環境に搭載される機器向けに、200度の高温環境でも使用可能な導電性接着剤対応のMLCC「GCBシリーズ」を開発。16年中に量産を開始する。
AEC−Q200に準拠した自動車のパワートレイン、セーフティ機器向けの導電性接着剤対応品。外部電極に新規開発したニッケル/パラジウム電極を採用しており、高温環境下においても導電性接着剤との高い接合信頼性を得ることができる。また、従来品に比べて端子電極の耐腐食性が優れている。
サイズは1005サイズ、1608サイズ。使用温度範囲はマイナス55−プラス150度(X8R特性)、マイナス55−プラス200度(X9M特性)。定格電圧は10―100V。静電容量は1千p―0.47μF。
TDKは温度補償用MLCCで、定格電圧1kVで業界最高の静電容量範囲(1n―33nF)を実現した。実用化が期待されている自動車用非接触給電ユニットでの採用を視野に入れるとともに、車載用チャージャ、DC―DCコンバータ、さらには時定数、フィルタ、共振、発振、スナバ回路といった産業機器の各種電源向けに販売を開始した。当初、月産10万個を見込む。
新製品は、EIA規格で最も静電容量の温度変化が小さいC0G特性(温度範囲マイナス55―プラス125度、温度係数0プラスマイナス30ppm/度以内)、NP0特性(マイナス55―プラス150度、0プラスマイナス30ppm/度以内)を満足。
誘電体材料の微粉化、高分散化技術と誘電体セラミック層の薄層、多層化技術を組み合わせることで、1kV定格の高耐圧で、最大33nFの大容量化を実現したもの。
サイズは1n―22nFをカバーする3.2×2.5ミリサイズと10n―33nFをカバーする5.7×5ミリサイズ。
自動車における品質規格であるAEC―Q200に準拠。
同社はこれまで温度補償用MLCCとしては定格電圧が630Vを最大としてきた。1kV定格へと高耐圧化したことによって、フィルムコンデンサの主市場である共振回路、スナバ回路などの各種電源での代替需要が期待できるとしている。
太陽誘電は0603サイズMLCCで、世界最薄となる厚み0.11ミリを実現した。これまでの厚み0.15ミリに比べて約27%の薄型化達成。スマホやウエアラブルなどに搭載されるICのノイズ対策用途に向けて、サンプル出荷を開始した。量産は玉村工場において、月産1千万個を見込む。サンプル価格は20円/個。
新製品「JMK063 BJ104ML」は従来の0603サイズに比べて薄型化したばかりでなく、同じ0.11ミリ厚の1005サイズに比べて実装面積で約64%の小型化を実現している。
スマホをはじめ今後普及が期待されているウエアラブルなどでは、多くのICを搭載。ICの周囲にはノイズ対策の一つであるデカップリング用途に多くのMLCCを使用する。機器の薄型化、多機能化、さらにはバッテリの大型化によって、部品の実装面積は小さくなり、実装部品に対してより小型、薄型化を要求。
温度特性はX5R。静電容量は6.3V定格で0.1μF。