電子機器の小型・高性能化に伴い、コネクタ技術が高度化している。スマホなどのモバイル端末では、内部接続用コネクタの一層の軽薄短小化や高速伝送化が進む。車載用や産業機器用、通信インフラ用では、高速/大容量伝送対応や大電流/高耐圧対応などの技術開発が進展。このほか、新規事業開拓に向け、エネルギー関連や医療/ヘルスケア関連、ウエアラブル端末などに照準を合わせた取り組みも進んでいる。コネクタメーカー各社は、既存成長分野と新規有望分野での市場ニーズに向け、積極的な新製品開発を推進する。
産業機器やロボット市場は、付加価値の高いコネクタの需要を押し上げる有望市場として、各社が重視している。軽量かつ信頼性に優れた産業用防水コネクタなどの開発が進み、電源コネクタでは200A対応などの大電流対応製品開発にも力が注がれる。
医療機器向けでは、MRI(磁気共鳴画像装置)やCT装置(コンピュータ断層撮影装置)、超音波診断装置などの画像系装置向けに高精細画像伝送用コネクタ技術の展開が図られている。電子内視鏡システムや外科手術用撮影設備などの分野では、4K/8K化の動きに対応したコネクション技術の提案が進む。
ロボット関連では、各種ロボット内部に実装されるコネクタの開発とともに、産業用ロボットでの自動実装に対応可能なフローティングコネクタやFPC/FFCコネクタの開発にも力が注がれている。
通信インフラ用では、2020年頃からの実用化が予定される第5世代携帯電話システム(5G)に向けた高速伝送対応コネクタの開発が動き出している。5Gは、2020年以降の超高度情報社会に向けた次世代通信方式として、10Gbpsを超える通信速度や、現行のLTEの約1000倍の大容量化などが想定される。IoT/M2Mの普及を視野に、さらなる多様なサービスへの対応も想定されている。
このため、コネクタメーカーでは、5Gに照準を合わせ、最大40Gbpsなどのデータ転送速度に対応する超高速伝送対応I/Oコネクタや高速バックプレーンシステムなどの開発を本格化させている。
高速伝送用コネクタ開発では、通信の信頼性を確保するため、高品位な信号伝送技術や、優れた放熱技術、EMI対策など様々な技術が活用される。