電子部品メーカーは太陽光発電システムや蓄電池、インバータ、2次電池(LIB/LIポリマー電池)、燃料電池、次世代照明(LED/有機EL)、HEMS/BEMS、EV/PHVなどエネルギー関連市場への取り組みを強化している。創エネ/省エネ/蓄エネ関連機器市場の広がりは、電子部品・デバイスの新たな需要を創出する。昨年12月に開催されたCOP21で「パリ協定」が採択されたことも、これらの新エネルギー関連市場には追い風となる。各社はエネルギー関連機器の進化に照準を合わせた技術開発を一段と加速させている。
自動車関連では、電気自動車(EV)/プラグインハイブリッド車(PHV)/燃料電池自動車(FCV)などに照準を合わせたデバイス開発が進展している。
EV/HEVインバータ向け電流センサーは、高感度磁気素子を搭載した高精度な電流センサーによる小型・軽量化提案などが進む。インダクタはSiCなどの次世代パワー半導体の実用化に伴う周辺回路の変化を視野に入れた小型・高効率パワーインダクタの提案などが進められている。
車載LIB用材料は、希少金属のコバルトの使用量を抑えた正極材や、耐熱性・安全性に優れたセパレータなどの開発が進められている。燃料電池関連では、電気を発生させる際の触媒に利用されるプラチナを代替できる非貴金属系触媒の研究などに力が注がれている。
最近の日本の電力業界では、電力各社の系統接続保留問題などもあり、売電目的の太陽光発電システム市場の拡大にブレーキがかかっている。このため、太陽電池で貯めた電力の自家消費用に蓄電池システムの普及への期待が高まり、蓄電システム用の大電流仕様対応デバイスなどの開発が進展している。
パワー系コネクタでは、定置型蓄電池システム用に、150A対応などの中継コネクタ開発が進められ、大電流を扱う際の接続の安全性向上などが追求されている。組立て作業時やメンテナンス時の安全性確保のため、容易に端子に人の指が触れない設計や、嵌合形状の差異により異極性同士の接続ができない構造設計などにより異極間の短絡事故を防止することで、システムの安全性向上が追求される。
電池レスでの発電が行えるエネルギーハーベスト系デバイスの開発が加速している。部品各社は、電磁誘導発電技術を活用したスイッチや、周囲の振動を電気エネルギーに変換できる振動発電デバイスなど、様々なエネルギーハーベストデバイス開発に取り組んでいる。