次世代パワー半導体の動き活発化
SiC基板、20年には132億円市場
GaN基板、日系メーカーが主導権
SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)など次世代パワー半導体の動きが活発化している。
家電、コンピュータ、自動車、鉄道などのコンバータやインバータといった電力変換器に用いることで、従来より一歩進めた省エネ効果を期待する。
仏調査会社は、15年のSiC基板市場、4800万ドル(約57億円)が20年には2.3倍の1億1千万ドル(約132億円)に増加すると予測した(ヨール・ディベロップメント)。年平均21%の成長率とみる。
次世代パワー半導体は通常の半導体に比べ、電子が存在することのできない領域(禁制帯)、すなわちバンドギャップが大きい。そのため高い電圧下で使用しても、熱エネルギーにより電流が流れてしまうことがなく、耐圧性(電圧)が高い。
また、電流を流した時の抵抗(オン抵抗)が低いなどの特徴を持っている。材料としてはSiC、GaNのほか、Ga
2O
3(酸化ガリウム)、AlN(窒化アルミ)、ダイアモンドなどが開発されている。
SiC市場の拡大を支えているのが、ウエハー品質向上と生産量の増加に伴う価格の低下などが寄与している。今までウエハー径は4インチが主流であったが、15年後半から6インチの量産が開始され、8インチの試作も始まっているという。
SiC基板では米クリ―社がトップメーカーで、ダウコーニング、SiCrystalが続き、最近、中国のSiCメーカー4社が年15万枚以上のウエハー生産能力を発表しているようだ。
GaNのバルク基板は、日系メーカーが主導権を持っている。
ハイドライド気相成長法(HVPE)、アミノサーマル法などによって製造されている。結晶欠陥レベルも向上し、紫外LED用途などの商品化へ向けた検討も始まっている。