東レ 高性能遮炎ペーパー開発
厚さ60マイクロメートル、幅広い分野で使える
高性能遮炎ペーパーの高い難燃性と10分以
上の高い遮炎性能 (東レ独自の評価方法)
東レはポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維トルコンと同社子会社ゾルテック製のポリアクリルニトリルからなる耐炎化糸を用いた高性能遮炎ペーパーを開発した。
既存の難燃ペーパーでは、炎を遮る性能(遮炎性)を実現するにはかなりの厚みが必要で、無機物からなる既存の遮炎シートは薄膜化が難しく、柔軟性に欠けていた。
今回開発した高性能遮炎ペーパーは、薄膜かつ柔軟性を持ちながら、高い難燃性と10分以上の高い遮炎性能(同社独自評価方法)を持つ。
この遮炎ペーパーを難燃性が求められる様々な製品に適応することで、その難燃性を向上させより高い安全性を製品に付与することができる。厚く頑丈な難燃材と置き換えることで、最終製品の省スペース化や小型化が実現できる。
PPS繊維トルコンは難燃性、耐熱性や耐薬品性を持つ熱可塑性繊維であり、主に石炭火力発電ボイラーのバグフィルタ用途で幅広く使用されている。
ゾルテック社が生産する耐炎化糸は、空気中で焼成酸化させた酸化ポリアクリロニトリル糸であり、優れた難燃性、耐熱性を生かし、航空機用ブレーキパッドや溶接時のスパッタシートをはじめとして、様々な産業分野に展開されている。
この遮炎ペーパーが炎にさらされ300度以上に加熱された場合、熱可塑製樹脂であるPPS繊維が溶融し、ペーパー内に網目状に配置された耐炎化糸の空隙に膜状に広がって温度上昇とともに炭化が進み、炎をも遮る難燃シートへと構造転化する。
これにより難燃性として、厚さ60マイクロメートルの薄膜状でありながら、UL−94規格VTM−0クラスと同じ性能を発現、炎も遮断する。
また、この遮炎ペーパーは高い通気度があり、熱のこもりを軽減でき、立体加工の際の接着剤塗布時には優れたアンカー効果を発揮する。今までにない「薄くて、軽くて、成形可能で、遮炎できる」という特徴を持ち、最終製品の防炎性の向上や火災リスク低減、最終製品の省スペース化や軽量化にも寄与し、幅広い分野への適用が期待される。