JSR、日本IBM、千住金属工業の3社は、半導体の最先端高密度実装を革新する微細なはんだバンプを形成する溶融はんだインジェクション法(IMS)を300ミリメートルウエハー向けに開発した。
モバイルデバイスの小型化、高速化、低消費電力化などから、半導体実装において複数デバイスの集積が加速している。
高密度な基板上にデバイスを微細接合する方法(2.1D、2.5D)やデバイスを積み重ねる方法(3D:3次元積層)などがある。これらは、デバイス間の入出力接続が必要で、接合にはんだバンプによる狭ピッチでかつ信頼性の高い微細接合が要求されている。
IBMが開発したIMSは、ウエハー上にレジストで形成したマスク開口部に「IMSヘッド」で溶融はんだを直接注入、埋め込み、微細なはんだバンプを形成する方法。
マスク開口部のサイズに応じて微細なはんだバンプを信頼性が高く、低コスト・グリーンなプロセスで形成できる。
200ミリメートルウエハー向けの試作にとどまっていたものを、量産ライン向け300ミリメートルウエハーへの実用化が求められていた。
今回、高解像性を維持したまま溶融はんだを直接埋め込む高温プロセスに耐えるレジスト材料をJSR、溶融したはんだ材料を300ミリメートルウエハーに埋め込む時の精緻な圧力・温度制御を実現できる装置を千住金属工業が開発することにより実現した。
従来のめっき技術では形成困難なビスマス(Bi)系やインジウム(In)系はんだ材料を使用して、低温でバンプ形成することで熱歪や反りが低減して信頼性が向上するため、従来よりも幅広い接合ニーズに適用可能となる。
また、はんだ材料で直接バンプ形成するため、非常に原料利用効率の高い、環境に優しい低コストプロセスを提供できる。
この成果を16―18日、東京ビッグサイトで開催されるセミコン・ジャパン2015で展示・紹介する。