各種電子機器に電力を供給する電源の技術が高度化している。電源は小型、軽量で、高効率、長寿命などを基本に新製品開発が活発化。産業機器や自動車向けでは、高信頼性化ニーズに対応。スマホ、ウエアラブルなどの分野に対しては、超小型化が強く求められる。先に開催されたCEATEC JAPAN 2015では、成長分野に向けた最新の電源技術が公開された。
産業機器向けは、様々な電源が紹介された。TDKは、リチウムイオン電池などの充電用として、新たにシンプルファンクションモデルとして300Wと600Wモデルの簡易型定電流電源「EVSシリーズ」を展示した。
新製品は、出力電圧が12V系、24V系、48V系の各蓄電池の電圧に合わせた18V、36V、57Vタイプを用意。並列運転による大容量蓄電池の充電にも対応する。また、超小型AC―DCオンボードスイッチング電源「KWS―Aシリーズ」も新製品として紹介。制御・計測機器をはじめ、工作機械、半導体製造装置、通信機器交通監視装置などの制御基板向けに開発した。
ヒューズや電解コンデンサなどの外付け部品を内蔵したオールインワン設計を施しており、ユーザーは外付け部品レスとなり、使い易くなっている点が大きな特徴。
省エネ関連の電源としては、太陽誘電やタムラ製作所がLED照明用電源の最新技術を紹介した。太陽誘電は、無線モジュールと電源モジュールを開発し、室内および屋外のLED照明を無線通信で制御する技術を提案。複数の照明を登録でき、同時にON/OFF制御。調光、調色制御が簡単に操作できる。
電源モジュールは、LED照明用として、25Wと150Wの2タイプを開発。同社のコア技術である電源回路技術を生かし、3種類の調光方式(アナログ、PWM、抵抗器)に対応し、電源変換効率も25Wで85%、150Wで92%以上を実現した。
タムラ製作所は、新たに定電流電源モジュール「CPMシリーズ」、屋外照明用標準電源を相次いで開発した。「CPMシリーズ」は、少ない外付け部品で、容易に小型のAC―DCの設計を可能にした超低待機電力型電源モジュールの技術を継承し、簡単にLED照明用電源を設計できるようにしたもの。
屋外照明用電源は、街路灯、投光器、施設照明などで使用する電源で最大110Wの出力。定格入力、定格負荷における効率が90%以上、15W時の力率が85%以上と高性能で、しかも周囲温度50℃における寿命が6万時間以上、雷サージがコモンモード15kV以上に対応し、防塵防水構造を採用して高信頼性を実現している。
自動車関連の電源技術は、EV、HEV、燃料電池車などに搭載されるDC―DCコンバータや充電関連の最新技術が公開された。TDKは、xEV用向けにメインバッテリの高電圧を車載機器に降圧して電力を供給する業界最小クラスの車載DC―DCコンバータやメインバッテリを高効率で充電する業界最小レベルの車載充電器を紹介。さらに車載バッテリの充電に非接触給電システムを展示した。
ニチコンは、トヨタの「MIRAI」と同社のV2Hシステム「EVパワー・ステーション」を連携し、非常用電源に活用できる技術を紹介。
ウエアラブルやIoT関連の電源技術も多彩化。村田製作所は、人の活動量検知やインターフェイスのセンサーをウエアラブル端末でデモ。その中で、電源としては、超小型、薄型のDC―DCコンバータモジュールを紹介している。
TDKは、ウエアラブルなどのバッテリチャージャとして、小型、薄型で給電効率の高い非接触給電システムを提案。さらにIC内蔵基板「SESUB」を使って、小型、薄型で低消費電力を実現したDC―DCコンバータモジュールなどを展示した。