新エネルギー関連機器向け電子部品・デバイス

高速伝送対応や小型・低背・狭ピッチ化など追求

 電子部品メーカーは太陽光発電システムや蓄電池、2次電池(リチウムイオン/リチウムポリマー電池)、燃料電池、次世代照明(LED/有機EL照明)、スマートグリッド、HEMS/BEMS、EV/PHVなどエネルギー関連市場への取り組みを強化している。創エネ/省エネ/蓄エネ関連機器市場の広がりは、電子部品・デバイスの新たな需要を促進する。各社は、エネルギー関連機器の進化に照準を合わせた技術開発を加速させている。


 太陽光発電システム用デバイス技術

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太陽光発電パワーコンディショナや
大型蓄電システムの冷却用遠心フ
ァン (外形寸法φ225ミリメートル
×99ミリメートル厚) (山洋電気)

 太陽光発電システム用では、発電効率の向上や高信頼性、高耐久/長寿命、低コスト、安全性向上などに照準を合わせた部品・デバイス開発が進展している。

 接続部品では、太陽電池モジュール用の中継コネクタや高電流対応リレー、端子台などの開発が活発。太陽光発電ジャンクションボックス(JB、配線ユニット)内部接続コネクタは、電気的損失が少なく、かつ長期間(20―25年)にわたり性能を維持できる耐久性が求められる。太陽電池パネルとJB接続用コネクタは、定格1000V/30Aなどの大電流/高耐圧対応が求められ、かつ高い安全性や長期信頼性、防水性などが必要。パワコン内蔵用リレーは、接点ギャップ1.5ミリメートルかつ低消費電力の小型高容量リレーなどの開発に力が注がれている。

 回路部品では、パワコンの小型・高効率化要求に対応し、小型軽量かつ低損失の中高圧コンデンサやパワーインダクタ、小型でハイパワーな抵抗器などの開発が進展。電源の小型化と高効率化を両立するための新たなインダクタ材料開発なども進んでいる。

 EV/PHV/FCV関連デバイス技術

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基板実装タイプ高精度電流センサー(外形寸法
13.4×15.7×高さ7.2ミリメートル) (アルプス
電気/アルプス・グリーンデバイス)       

 自動車関連では、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)などの需要が今後大きく拡大することが見込まれる。このため、電子部品各社は、車載LIBやインバータ、燃料電池システムなどに照準を合わせた技術開発を強化している。

 EV/HEVインバータ向け電流センサーは、高感度磁気素子を搭載した高精度電流センサーによる小型・軽量化提案などが進展。インダクタは、SiCなどの次世代パワー半導体の本格化に伴う周辺回路の変化に照準を合わせた小型・高効率インダクタの提案などが進められている。

 車載LIB用新規材料開発にも力が注がれる。LIB正極材は希少金属のコバルトの使用量を抑えた代替材料開発が進められている。

 燃料電池関連では、FCVの普及の鍵を握るプラチナ代替技術が重要性を増している。燃料電池は水素と酸素を化学反応させ電気と水を発生させる。プラチナは燃料電池セルの電解質膜を挟んだ両電極に使用され、化学反応を促す触媒の役割を担う。一方でプラチナは埋蔵量に限りがあり価格も非常に高価なため、車1台でのプラチナ使用量を削減するための高効率化研究や、プラチナ代替可能な非貴金属系触媒の研究などが進められている。

 エネルギーマネジメント関連技術

 電子部品メーカー各社は、HEMS/BEMSなどのxEMS(エネルギーマネジメントシステム)分野向けに、環境センサーネットワークの提案強化に努めている。センシング技術と、ブルートゥーススマートや920MHz通信モジュールなどの無線モジュールを融合した提案を進めることで、最適なエネルギーマネジメント構築が訴求されている。

 各社は、xEMS市場向けに、高周波技術や無線通信技術、センサー技術、省エネ技術などを駆使した新製品開発を強化。家電製品をネットワーク連携する「エコーネット・ライト」規格対応ユニットなどの開発も進展している。電流センサーとブルートゥーススマートの組み合わせによるスマートタップなども製品化されている。

 エネルギーハーベスト技術

 電池レスでの発電が行えるエネルギーハーベスト系デバイスの開発が加速している。電子部品各社は、電磁誘導発電により電池レスを実現したスイッチや、周囲の振動を電気エネルギーに変換できる振動発電デバイスなど、様々なエネルギーハーベストデバイス開発に取り組んでいる。
 これらの用途として、各種社会インフラの管理モニタリングへの展開が期待されている。橋梁やトンネル、施設天井など電池交換が困難な場所へ設置を進めることで、電池レスによる省エネ化に加え、電池交換に関わるメンテナンス費用低減などが志向されている。