情報通信機器用部品 注目の新技術

 情報通信分野はスマホをけん引車として伸びている。スマホはLTEシステム(4G)の整備を背景に、通信容量の拡大、高速化が進み、利用範囲が広がっている。薄型で高機能なスマホの新製品開発で、鍵を握っているのがモジュール化技術、センシング機能の充実、さらには部品で搭載点数が最も多い積層セラミックコンデンサ(MLCC)の小型化技術など。

 【モジュール】
 ブルートゥースやGPS用など搭載 薄型モジュール基板も重要

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ブルートゥース/Wi−Fiコンボモジュール

 情報通信分野ではブルートゥース、Wi―Fi、GPS、W―LAN、ワンセグなどの通信モジュール。さらにカメラやDC―DCコンバータなどの各種モジュールが様々な機器に搭載されている。

 モジュールに共通して求められるのは小型、薄型化。重要な技術の一つが回路基板。ガラスエポキシ銅張積層板を使った樹脂系プリント配線板や低温同時焼結セラミック(LTCC)基板などが使用されている。

 通信モジュール用途に対しては、従来のビルドアップ基板の技術をもとに薄型化、ファイン化を追求したビルドアップ工法を使った薄型モジュール基板が多く使用されている。薄型化では6層エニーレイヤー構造で板厚0.22ミリを実現。ファイン化に対してはビア間ピッチ0.15ミリ、表層のビアランド径を0.085ミリまで小径化。引き続き、板厚では6層で0.175ミリ、8層で0.23ミリ、ファイン化ではビア間ピッチ0.13ミリ、表層ビアランド径0.075ミリ程度までの微細化に向けた開発が行われている。

 ビルドアップ基板をさらに高密度化する技術が部品内蔵基板。多層板の内層にICや抵抗器、コンデンサなどの部品を埋め込み、基板表面にも部品を実装することで、回路の集積度を高め、基板面積を小型化を実現している。

 部品内蔵基板では、薄型化を追求したICだけを基板に内蔵する「IC内蔵基板」をはじめ「銅コア内蔵基板」など、各社に独自技術が開発されている。

 IC内蔵基板を用いることで、3.5ミリ角×1ミリサイズを実現した「ブルートゥース スマート モジュール」が開発された。また、銅コア内蔵基板ではスマホ向けにイメージセンサーを2基搭載した「ダブルレンズカメラモジュール」が開発された。

 モジュール基板で一般的に用いられているセラミック基板では、LTCC基板の高度利用が進んでいる。内部にコンデンサ、インダクタ、抵抗器、電極などを厚膜印刷形成し、セラミック、電極材料を同時に低温で焼結するもの。LTCCは高周波特性に優れているため、無線通信モジュール用基板としての採用が定着化している。

 【センサー】
 電子コンパス用3軸地磁気センサーなど スマホなど高機能化に対応

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スマホ向けの静電容量式デジタル湿度センサー
(外形寸法2.0×2.0×高さ1.0ミリメートル)  

 高機能化が進むスマホには、様々なセンサーが搭載される。主な製品はCMOSセンサー、加速度センサー、電子コンパス用3軸地磁気センサーなど。このほか、ジャイロセンサーや手振れ補正センサーなどもある。

 デジタル気圧センサーやデジタル湿度センサーを搭載したスマホも一部メーカーから発売されている。ハイエンド機種では指紋認証センサーも搭載。今後、紫外線センサーやRGBセンサーの搭載増加も予想される。

 最近では、1.15ミリ角サイズの3軸地磁気センサーや2.5ミリ角サイズのデジタル気圧センサーといった小型化にシフト。さらに複合化技術が進展し、地磁気、加速度の両センサーを複合化した6軸センサーや、ジャイロ機能を加えた9軸化も視野に入れられている。

 スマートウオッチなどのウエアラブル分野では、曲面入力対応タッチパネルなどの技術も求められている。

 【MLCC】
 スマホ向け 超小型品の搭載増加 0201サイズの生産始まる

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MLCCの小型化技術が進む (左から0201サイ 
ズ、0402サイズ、0603サイズ、1005サイズ) 

 スマホなどの高密度実装化で搭載点数が最も多い積層セラミックコンデンサ(MLCC)の小型化、高機能化技術が進展している。

 スマホ向けMLCCは、ローエンドタイプで200―400個、ミドルレンジで300―500個、ハイエンドで400―800個が搭載されるという。そのうち、0402サイズおよび0603サイズといった超小型品の搭載比率が約5割を占めている。

 最新技術としては、0603サイズで1千pFの温度補償用MLCCが開発された。

 次世代チップとしては、0201サイズの生産が始まった。0402サイズに比べて45%の小型化を実現したもの。0201サイズで静電容量が0.022μFに拡大している。

 モジュールで採用が広がっている部品内蔵基板向けMLCCは、0.11ミリ厚まで超薄型化した。

 高機能化では、振動によるMLCCの「鳴き対策」としてインターポーザ基板を介して振動を抑制し、メーン基板への振動の影響を最大抑制するインターポーザ基板付きMLCCや、振動、衝撃に対して樹脂電極、金属端子タイプなどが相次いで開発されている。

 さらに温湿度変化での結露による部品のイオンマイグレーションを抑制するために、コンデンサ表面に撥水処理を施した撥水MLCCが新たに開発された。