2014年のコンデンサの世界市場規模は約1兆9000億円に達し、16年には2兆円を突破。22年に2兆5000億円を超え、24年は2兆9000億円に拡大すると予想されている。市場規模が最も大きいセラミックコンデンサは14年でコンデンサ全体の約40%を占めている。次に多いのがアルミ電解コンデンサで約30%。フィルムコンデンサ、タンタル電解コンデンサ、その他(電気二重層キャパシタ、ニオブコンデンサなど)がそれに続く。
セラミックコンデンサは誘電体の高い比誘電率を生かし小型、大容量、高電圧を特徴にスマホやタブレットPCの小型、薄型、低消費電力を支える。ハイエンドモデルのスマホには400〜800個のセラミックコンデンサが使われている。アルミ電解コンデンサは容量、電圧範囲の広さ、容量あたりのコストの低さ、使いやすさからインバータやパワーコンディショナなどの大電力を扱う機器での採用が増えている。導電性高分子アルミ固体電解コンデンサは陰極材料に導電性高分子を用い、低ESR特性を可能にした。パソコン、家庭用ゲーム機などで多く採用されている。近年は高電圧化が可能となり、車載回路や産業機器での使用が広がっている。
フィルムコンデンサは電極間の絶縁性が高く、超高電圧にも対応が可能で、エネルギー、自動車などの需要が増加している。タンタル電解コンデンサは使用電流が大きく大容量が必要なノートPCなどで採用されている。小型大容量化の特徴からウエアラブル機器への採用が期待されている。電気二重層キャパシタは誘電体を使わず、電極間距離が短いため大容量ながら高い絶縁性は確保できないが電圧が低いのが特徴だ。メモリーバックアップ用途で小型品の採用が進み、携帯電話、半導体などの記憶媒体などの情報通信用に広く使われている。自動車向けの需要も伸び、スマートメーターでも採用が始まっている。中型品は複写機や道路鋲、プロジェクタなどの特殊電源用途が拡大。太陽光発電や風力などの自然エネルギーとの併用による分散電源、ピックカット用途での採用も進んでいる。電池に比べ大電流のエネルギーを出し入れでき、長寿命のためクレーン回生、エレベータ回生、車載ブレーキ回生などのエネルギー回生用途での利用も注目されている。ニオブコンデンサはアノード材料に酸化ニオブ(NbO)を使用することでタンタルコンデンサと比べ安全性を高めた。情報通信や産機などの電源まわりで使用されている。
積層セラミックコンデンサは2012サイズから小型化が進んでいる。2012サイズから1608サイズ、1005サイズへと進展。さらに0603サイズ、0402サイズへの超小型の採用が増大。18年ごろに0603サイズが1005サイズを抜き1005、0603、0402サイズが主流サイズとなると予測されている。0201サイズもモジュールやウエアラブル機器向けで採用が進みつつある。低背化の要望も強まり、高密度回路や部品内蔵基板、LSIのバンプ間用途には1005サイズ0.1μFで高さ150μm以下の超薄型品が商品化されている。大容量化も厚み1μm程度の誘電体を多層積層し数百μFの静電容量品が商品化されている。内部電極材もPd、Ag―PdからNiとなり、小型大容量化を支えた。90年代後半の電極層厚2μmのNiの平均粒子径は0.4μmメートル程度だったが、0.2μmまで微細化。0.10μm以下の試作も始まっている。誘電体、内部電極の薄層化、高精度積層化、外部電極形成などの技術の進展により単位体積当たりの容量も98年から08年の10年間で約30倍に拡大。さらに単位面積当たりの容量拡大が進んでいる。
アルミ電解コンデンサはアルミ箔表面積を拡大するエッチング技術の進化で単位面積当たりの表面積が増加。エッチング孔の垂直方向の成長とその長さを揃え、14年の製品体積は2000年の約半分にまで小型化。24年には2000年の3分の1の大きさにまで小型化できる可能性がでてきた。
スイッチング電源の小型のキーとなる高周波領域の低ESR化は電解質の抵抗、電解紙の抵抗の低減が有効なことから導電性高分子を電解質に使用したりしている。インバータ電源は低周波領域の低ESR化、高リプル化が求められ、電極箔酸化皮膜の誘電体損失の低減で低ESR化を実現。高リプル化は放熱性能を上げ温度上昇を抑えたり、高耐熱性材料を使用することなどで開発が進んでいる。自動車や太陽光発電、風力発電のパワーコンディショナ、LED照明などへ採用が広がり、高温度化、高耐振動化、高電圧化、長寿命化などの開発も電極箔、電解液、封口ゴムなどの見直し、新材料の採用などで加速している。